小説におけるこだわり
私は、森博嗣氏の小説・絵本が好きです。
森作品は、手に入るものは片っ端から買いあさっています。
もうこれは、ある意味こだわりです。
きっかけ
最初に森作品と出会ったきっかけは、福井晴敏氏の「亡国のイージス」にはまったことでした。
そのファンの方(現在は福井氏の奥さま)のサイトでは、「亡国のイージス」の登場人物を、「スカイクロラ」っぽいイメージで書いた絵が掲載されていました。
そこに、「スカイクロラ」のキャッチコピーとして使われている言葉が添えられていたんです。
それを読んで、戦闘機ものだということが、分かりました。
それからしばらくして、私は大学生協で「スカイクロラ」を発見。
ページをぱらぱらとめくり、すぐに購入しました。
しかし、そのころはいろいろと忙しかったので、読むこともなく放置。
大学を卒業し、就職するも社会の波に振り落とされ、引きこもっていたころ。
「スカイクロラ」が映画化されました。
私は、「スカイクロラ」の存在を思い出し、時間もあったので読んでみました。
そして、ぞっとしました。
そこに出てくる主人公が、私そっくりだったからです。
世界観といい、生死観といい、私のことを書いたのかと思うほどでした。
そして、スカイクロラはシリーズで、スカイクロラがシリーズ最終話だということを知りました。
でも、発行順はスカイクロラが最初なんですけどね(笑)
私は、本屋さんに行き、平積みになっていたスカイクロラシリーズをすべて買いました。
それから、毎日二時間ずつ、一週間ほどで一気にシリーズすべてを読みました。
読み切ったはいいものの、その時の私には、スカイクロラシリーズの内容が、いまいちよく理解できませんでした。
歴史小説
それからしばらく、私は歴史小説に浮気していました。
専攻分野ですからね(笑)
竹中半兵衛が出てくる歴史小説を読み漁り、それも読みつくしたころ。
理解したい
やっぱりきちんと理解したくて、もう一度、スカイクロラを読んでみました。
その時は、発行順ではなく、物語の時系列順に読みました。
何となく、だいたいの理解はできました。
でも、もっと理解したい。
作者は一体何を意図しているのか、知りたい。
作者は、自分の作品の中では「スカイクロラシリーズが最高傑作だ」と言っている。
これはきっと、他の作品も読んでみないと分からないに違いない。
そう思って、森博嗣氏の作品を読破しよう、そう決めました。
すべてがFになる
手始めに、「すべてがFになる」から読み始めました。
これが、とんでもない衝撃でした。
この作家さんは、ミステリィ作家だったのか、という驚きと同時に、とんでもない文章力と、想像力だ!と思いました。
私は一気に作品にとり憑かれ、シリーズ10冊を読破。
次のシリーズ10冊も読破、そして次のシリーズも、短編集も・・・・・・と、どんどん読んでいきました。
読み漁るうち、スカイクロラシリーズの謎が、少しずつ解けていきました。
スカイクロラは、ミステリィではないように見えるけれど、とても大きな仕掛けのミステリィなのだ、ということも分かりました。
このころには、完全にその世界観の虜になっていました。
何だか、私の住んでいる世界に似ている気がしました。
ブログやエッセイも
小説だけでは飽き足らず、彼のブログを本にしたものも、読みました。
工作関連の本も、読みました。
とにかく、彼の考えていることが知りたい、そう思って、次々に読んでいきました。
やはり、私の世界との共通点が、多々ありました。
失礼かもしれませんが、おそらく私たち寄りの人間なのだろう、と考えました。
一度など、ブログの中で「読字障害」について触れられていて、本当に驚きました。
彼は、断定はしていませんでしたが、自分も軽いものだけれど、それだったのではないかと思った、今は大丈夫だけれど、というような内容のことを書いていました。
自分を見つめるツールだった
私は、森氏の作品を通して、自分を見つめているような気がしています。
だから私は、彼の作品にこだわって、読み続けるのです。
私が住む世界を、文字として表現し、他人に伝えるための基礎となっていると言っても、過言ではないと思います。
どのようにして、「コトバ」という記号を使って、人にものを伝えるのか。
こういう考えは、どう表現したらみんなにも理解できる表現になるのか。
国語の勉強を、させてもらった気がします。
他にも、こう考えれば、生きやすくなるのではないか。
人と違ってもいい。
人に迷惑をかけない程度に、自分の思うままに生きよう。
など、いろんなことを、学ばせてもらいました。
特にエッセィでは、本当に大事なことを教えてもらいました。
それは、作者の意図することとは違うかもしれません。
でも、私は私なりに、その作品と出会った意義を見つけています。
「生きるとは?」
「死ぬとは?」
「人間って何?」
そんな永遠のテーマが、絶妙な彩りを纏った切り口で展開される、森シリーズ。
彼が完全に執筆活動を停止するまで、私はその世界に住み続けます。