ADHDの薬
ADHDの服薬治療
今回は、ADHDの治療の1つでもある、服薬治療についてお話します。
服薬治療といっても、「薬を飲めばADHDが完治する」というわけではありません。
ADHDにおける服薬は、あくまで脳の働きを改善し、行動をコントロールしやすくする目的で行われます。
コンサータとストラテラ
現在日本において、ADHDの薬で認可が下りているものは「コンサータ」と「ストラテラ」のみです。
(つい最近、小児にのみインチュニブという薬が適用になりました。)
以前は、「リタリン」という薬が使用されていました。
しかし、依存や乱用などの問題が起こり、現在では「リタリン」はナルコレプシー(睡眠障害の一種)にしか処方されません。
コンサータ
コンサータは商品名で、一般名は「メチルフェニデート塩酸塩」です。
コンサータの成分自体は、即効性がありますが、徐々に長く効くように、成分の放出を制御するシステムが採用され、即効性と持続性を兼ね備えた薬となっています。
そのため、一度服用すると効果は12時間続きます。
コンサータは、脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンに作用し、それらを活性化させる働きがあります。
中枢神経を刺激し、精神的活動を高める、いわゆる興奮剤です。
コンサータは、リタリンに比べ乱用や依存の問題は少なくなっています。しかし、リタリンと同じ成分が含まれているため、リタリンの二の舞とならないよう、処方が厳しく制限されています。
不適切な使用や流用を避けるため、登録された医療機関や薬局でのみ取り扱えるようになっています。
ですから、コンサータを処方できる医師と、処方できない医師がいます。
コンサータを服用するときには、休薬日や休薬期間を設ける必要があります。
ネット上では、休薬すると重大な副作用が現れるなど、デマが飛び交っていますが、医師の指示のもと、適切に服用・休薬している場合にはそのような心配はありません。
ストラテラ
ストラテラは商品名で、一般名は「アトモキセチン」と言います。
ストラテラは、「選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤」というタイプの薬で、脳の神経伝達物質であるノルアドレナリンが、神経以外の物質に取り込まれることを防ぎます。
そうすることで、脳内のノルアドレナリンの濃度を高め、集中力や注意力を高めます。
ストラテラは、コンサータとは違い、効果が出るまでに数週間かかることがあります。
ストラテラの場合、脳の前頭前野の、ノルアドレナリンを取り込む物質にのみ作用するため、線条体などの依存にかかわる脳の部位には作用しないといわれています。
そのため、依存や乱用といった心配はないと考えられています。
薬の副作用は?
・口の渇き、食欲不振、吐き気、便秘
・不眠、眠気、頭痛、注意集中困難、神経過敏
・動悸、頻脈、不整脈、血圧変動
・不安、興奮、幻覚、妄想
・発汗、ふるえ、チック、尿がでにくい、性欲減退、かすみ目
・体重減少、子供の体重増加抑制・成長遅延
・長期連用で効き目が悪くなる
などの副作用が出ることがあります。
・食欲不振、吐き気、吐く、腹痛、下痢、口渇
・頭痛、眠気、不眠、立ちくらみ、めまい
・怒りっぽい、攻撃的、敵意の発現または悪化
・動悸、頻脈、心拍数増加、血圧上昇
・排尿困難、勃起不全、多汗症、味覚異常
・体重減少、成長遅延
などの副作用が出ることがあります。
副作用によって、服薬できない人もいます。
服用を続ければ、体が薬に慣れ、副作用が治まってくる場合もありますが、慣れることはない副作用もあります。
副作用を疑う症状が出た時は、すぐに医師に相談してください。
私自身、ストラテラの量が多すぎて、不眠・悪寒・のぼせ・多汗・動悸といった副作用でつらい思いをしました。
適切な量に減量すると、副作用は治まり、今では順調に服用できています。
服薬の効果は?
私自身が感じた服薬の効果を、以下に挙げます。
・頭の中がぐちゃぐちゃだったのが、少し片付いた
・不安なことがあっても、以前ほどそわそわしなくなった
・手足のごそごそ、もぞもぞ感がへり、落ち着いてすわっていられるようになった
・今までずっと眠っていた脳みそが、起きた感じがする
・頭の中が静かになり、物事に集中しやすくなった
・刺激に過剰に反応することが減った
・周囲の刺激を遮断できるようになり、世界が静かになった
・イライラが減った
・人の話を集中して聞くことができるようになった
・気分の上下が少し落ち着いた
など
上記は、あくまで私個人の感想です。
コンサータもしくはストラテラが効くと、ずいぶんと生活は楽になります。
私の場合、薬剤過敏があり、ストラテラは最小量の5mgしか飲んでいません。
成人が通常ストラテラの服用を開始する場合、40mgから始めることもあるようですから、私の服用量はたったの1/8です。
それでも、ある程度の効果を感じています。