ADHDの治療
ADHDの治療は?
最近では、ADHDという障害の名前が世間に比較的広まってきており、ADHDの診断を受ける人が増えてきています。
診断されてまず思うことは、「ADHDは治るのか?」ということでしょう。
結論から言いますと、ADHDは完治することはありません。
なぜなら、生まれつきの脳の機能障害だからです。
ADHDの治療とは
ですが、ネット上などで調べると「ADHDの治療」という言葉が出てきます。
「だったら、治るんじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし、残念ながら、現在の医学では、ADHDは完治させることはできません。
では、どうして「治療」をするのか?
ADHDにおける「治療」とは、完治させることが目標ではありません。
ADHDの治療では、社会生活や日常生活における困難を減らし、失敗と叱責の繰り返しで自信を失うという悪循環を断ち切り、ADHDの症状を受け入れ、自分らしさとして折り合いをつけられるようになることが目標なのです。
ですから、一般的な「病気の治療」のイメージとは、少し違います。
ADHDの治療は何をするのか?
まずは、成育歴や行動観察によって、ADHDであるという診断をつけます。
診断がつけば、治療開始です。
治療は、気が散りにくい環境を整える(環境調整)ことや、周囲の人が適切にかかわること、本人が取るべき行動を学ぶこと(SSTなど)から始まります。
そういった心理的・社会的な支援によっても、症状や困難が改善しない場合、行動をコントロールしやすくするために、服薬で治療することがあります。
服薬をするといっても、薬でADHDが完治するわけではありません。
あくまで、自分の行動をコントロールしやすくするための補助として使われます。
(薬については、また次回取り上げます)
治療を継続する中で、少しずつ困難を改善し、社会生活や日常生活に適応していきます。
状態によって、治療の内容を変更したり、薬を中断したりします。
周囲と折り合いがつけられるようになれば、治療は終了です。
しかし、環境が変わったり、成長とともに再び不適応が起きた時には、治療を再開することもあります。
必要な時に、必要な支援を受けられるようにします。
以上が、ADHDの治療の一般的な流れです。
全員が全員、これに当てはまるわけではありません。
大人のADHDの場合、服薬を中止することが難しい場合もあるでしょう。
本人の努力だけでどうにかなるものではない
本人の頑張りだけでは、どうにもならない部分も、たくさんあります。
周囲の人の手助けがあってはじめて、良い方向へ進みだすのです。