障害者歯科に行くようになったきっかけ2
「障害者歯科にかかることになったきっかけ」の続きです。
よその歯医者さんへ
新しく就職した先で、お昼ご飯を食べていたとき。
左下の奥歯に違和感があり、舌で触っていたところ、その歯がごっそりと欠けてしまいました…。
そんな場所、どう考えたって、通常の方法で治療できるわけがありません。
痛みはありませんでしたが、あまりのショックで、その日のうちに歯医者さんに行くことができませんでした。
翌日、予約を入れてもらい、N歯科へ。
欠けた場所が左下の奥歯で、内側だったため、どうしても治療時に舌を触らねばなりません。
舌をよけないと、治療ができませんから…。
しかし、舌を触るということは、確実に嘔吐くということです。
そのため、N歯科では治療ができないということで、N先生は麻酔で眠っている間に治療することを提案してくれました。
そして、あちこち病院を当たってくれて、保険適用で、1日で治療ができるM歯科を紹介してくれました。
N先生の知り合いであるM先生に、直接声をかけ、交渉してくれたのです。
そして、私はM歯科へ紹介状を書いてもらい、M歯科へ行ってみることになりました。
M歯科では、N歯科で働いている衛生士さん(私のことをよく知っている人です)が掛け持ちで働いていました。
最初の日は、問診と口の中の状態を診るだけだったのですが。
診察いすに座って、口の中にミラーを入れられた瞬間、私はパニックを起こして、叫んで手でM先生の手を払いのけてしまいました。
N先生とは、触り方が違ったことにパニックになったのです。
それを見たM先生は、「これはあかん。歯科恐怖や」と言いました。
衛生士さんは、「いつもはこんなことないんやけど…」と。
N先生であれば、ある程度慣れていたので、何とか歯の外側だけなら触られても我慢することができていました。
しかし、はじめて会ったM先生に対して、拒否反応が出てしまいました…。
歯科恐怖と異常絞扼反射
その時、私はM先生によって、「歯科恐怖」と「異常絞扼反射」と呼ばれる状態であることを知らされました。
「異常絞扼反射」とは、通常なら反応しない位置を触っただけで、えずいてしまう状態です。
反射ですから、自分でコントロールすることはできません。
異常絞扼反射の場合、麻酔で眠って治療をしても、成功する確率は50%だといわれました。
それでも、一度試しにやってみようということになり。
1か月後、麻酔で眠っている状態で治療をしましたが、結局口の中を触ると反射が起きて目覚めてしまい、治療することができませんでした。
大ごとに…
この時の麻酔は、「静脈(内)鎮静」という方法で、麻酔の状態としては浅い部類に入ります。鎮静をかけている状態で、反射を抑えるには至りませんでした。
そのため、M先生の紹介で、大学病院で全身麻酔で虫歯の治療をすることになりました。
M先生が直接、担当医に詳しく説明をして、話をつけてくれました。
この時の虫歯は、大学病院で全身麻酔をし、きちんと治してもらうことができました。
ついでに、まだ残っていた下の親知らず2本も抜いてもらいました。
全身麻酔では、呼吸も止まってしまうほど深く麻酔がかけられるので、当然、反射も起きません。
その代わり、呼吸が止まってしまうので人工呼吸器をつけられますし、目覚めた後もとてもしんどかったです。
そして、私が行った大学病院では、日帰りの全身麻酔を行っていなかったため、1週間の入院が必要でした。
左下の虫歯が治り、抜歯した親知らずのあとの傷も収まったため、大学病院の先生からN先生に紹介状を書いてもらい、再びN歯科に戻ることになりました。
事情を知っている大学病院の先生は、「M先生と、N先生とどっちがいい?」と聞いてくれたので、迷うことなく「N先生!」と返事しました。
(続く)