kaleidoscope

自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

発達障害者・精神障害者が地域で生きることについて

将来の不安 

私は今、両親が健在で、両親と弟と一緒に暮らしています。

ですから、今は無事に毎日を過ごせていますが、将来のことを考えるととても心配になります。

 

私は、大学生のころに一人暮らしをしたことがあります。

ですから、体力的な問題をのぞけば、生活における困難はさほど問題ありません。

一応調理をすることはできますし、掃除洗濯もできます。

(体力的な問題、興味の問題で、同じものばかり食べてしまって栄養が偏ったり、定期的な掃除洗濯が不可能な面もありますが、それはヘルパーさんにお願いするという解決方法があります)

 

また、我が家は持ち家の一軒家です。

ローン関連は親の代で解決するようになっているので、私がローンを支払うこともありません。

弟はおそらく結婚して家を出るでしょうから、もめごとが起こらなければ、私が家をもらうことになると思います。

 

地域社会で生きるということ 

私が不安に思うことは、そういったことではなく、もっと「社会的」なことなのです。

地域に住むということは、その地域における人間関係を成立させる必要がある、ということです。

引きこもって、誰ともかかわらずに生きていく方法もなくはないのですが、やはりご近所さんとのお付き合いは必須となるでしょう。

自治会に入っていなければ、情報が回ってこなかったり、いろいろ困る

ことも出てくるはずです。

 

私の住んでいる地域では、自治体の情報誌などは、自治体から自宅に直接送付する登録をすれば、郵送で届けてもらえますが、それ以外の情報はやはり、自治会に入っていないと回ってきません。

 

自治会に入ると、自治会のミーティングに参加したり、持ち回りの「班長」に当たったりします。

班長になると、自治会費の集金や、情報誌の配布などをせねばなりません。

私にとって、それが一番の不安であり、恐怖なのです。

 

そもそも、私は自閉症スペクトラム障害を抱えています。

自閉症スペクトラム障害は「社会性」と「コミュニケーション」に不具合を抱えています。

ですから、社会で生きていくうえで一番大きなハードルは、当然のことながら、社会的交流とコミュニケーションということになります。

 

私の場合、お隣さんくらいなら顔も覚えていますし、挨拶くらいはすることができます。

しかし、普段から親しいわけでもなく、家の事情を知っているわけでもありません。

当然、両隣の人は、私のことを「普通の子」だと思っています。

 

両隣の人以外は、同じ町内でも、だれがだれか全くわかりません。

知っているのは、ピアノの先生のご両親くらいです。

私の世代であれば、いわゆる健常者と呼ばれる人たちでも、それが多数派だと思います。

 

障害に対する理解 

現在、私の周囲には、老人が多く、認知症の方も数人いらっしゃいます。

そうした方たちは班長の役目を免除されているようです。

しかし、障害を理由に免除されている人は、まだいません。

そもそも、障害を公表できるような年齢構成ではありません。

精神障害の公表なんて、無理な状態です。

発達障害など、、おそらく名前も知らない人ばかりでしょう。

 

そのような中で、もし私の両親がいなくなってしまったら、私はどうやってこのコミュニティで生きて行けばいいのでしょうか。

どうやって、私の特性を知らない人たちと、最低限度の交流をすればいいのでしょう?

独特のコミュニケーション方法を取る私は、最低限度のやり取りができるのでしょうか。

 

地域で生きるための支援 

現在、障害者も地域社会で生きていくことが目標となっています。

地域社会に受け入れてもらう活動も、様々あります。

しかし、支援はまだまだ広まっていません。

 

障害者が社会で働くにあたって、「ジョブコーチ」という支援制度があります。

障害のある人と、会社との調整役として、ジョブコーチがつくのです。

会社と話し合ったり、障害のある人の特性に合わせて環境を整えたりする手助けをしてくれます。

会社にある程度定着すれば、時々様子を見に来るだけになったり、支援が必要なくなることもあります。

 

それと同じように、地域社会で生きるために、地域の人々との調整をしてくれるコーチがいればなぁ、と思います。

地域の人とうまくかかわるための手助けをしてもらったり、困ったことがあったときに相談できる人を探したりなど、苦手とすることを手助けしてほしいのです。

また、発達障害を抱えている場合、感覚が多数派さんとは違っていることもあるので、ご近所トラブルがあった場合にどこまでをご近所さんと相談して、どこまでは我慢するのか…など、「一般的な線引き」を教えてもらえると、とても助かります。

 

地域社会で生きるということは、社会性やコミュニケーション能力に問題を抱える人にとって、一番の鬼門でもあると思います。

かといって、同じようなタイプの人だけを集めて、自分たちだけのコミュニティを作って生活するわけにもいきません。

グループホームなどもありますが、そういった場所の場合、ご近所づきあいよりももっと身近に人がいるので、おそらくやっていけないでしょう。

そうしたことから、私は地域社会で生きるための支援がほしいなと思うのです。

 

まぁ、親がいなくなるころには自治会自体が人手不足で機能しなくなっている、という可能性も大いにあるわけですが…。

 

地域社会で生きる。

そこにはまだまだ、たくさんのハードルがあると思います。