エコラリア(おうむ返し)には意味がある
エコラリアのこと
自閉症者によく見られるという、エコラリア。
反響言語、或いはおうむ返しなどと表現されます。
このおうむ返し。
多数派さんの解説によれば、「意味はない」と書かれていることが多いです。
しかし、本当にそうでしょうか?
当事者として、言わせていただきますと。
「全部が全部、意味のない言葉ではない」
です。
エコラリアの分類
おうむ返しを、分類してみます。
あくまで、私の場合、ですが…。
①「○○ですか?」と聞かれた時に、「○○ですか?」とそのまま返す。
この場合、聞かれたことの内容が分からず、「どういう意味?」とか、「分かりません」という意味が含まれます。
多数派さんだって、「○○についてどう思う?」などと聞かれた時。
○○が分からなければ、「○○?」と、そのまま聞き返すはずです。
それと同じことが起こっている。
ただ、とっさに聞き返すときに、どう言えばいいかわからず、聞えた言葉をそのまま返している、というだけです。
②「○○ですか?」と聞かれた時に、「○○です」と返事する。
これは、一見おうむ返しに聞こえるかもしれません。
普通なら、「はい」とか「いいえ」で答えれば済むことですから。
しかし、質問に対し、とっさに答えようとしたときに、言葉が出てこない。
だから、相手が発した言葉を借りて、自分の意思を表現する。
この方法は、肯定の時にしか使えません。
否定のときは、首を横に振ります。
③質問以外の何かを言われた時、その言葉をそのまま繰り返す。
それは、単に言葉の響きが気に入って、繰り返していることが多いです。
言葉が韻を踏んでいるときは、特に繰り返してしまうことが多い。
誰かに言われたことでなくても、CMなどのフレーズでも同じことが起こります。
古いCMを例にしますと。
「A4でえーよん」とか。
「トナー買ってこないとなー」とか。
そういう、くだらないダジャレのようなものが大好きで。
日常会話でも、ふとした時に韻を踏んでいれば、繰り返してしまったり。
自分の発言でも、気に入れば繰り返し言うこともあります。
コミュニケーションと言葉遊び
まとめると、①、②の場合は、とっさに言葉が出てこない、というコミュニケーション上の問題によるもので。
③は、単に言葉遊びが好きだ、といったところでしょうか。
①、②に関しては、本人なりに何とかコミュニケーションを成立させようという努力の表れでもあるのです。
それを、意味が分かっていないのだととらえられてしまうと、悲しいものがあります。
③に関しては、言葉を言葉としてとらえるのではなく、「音」としてとらえてしまっているという特性の表れでもあります。単純に音を楽しんでいるだけなので、周囲に迷惑をかけない限りは放っておいて欲しいものです。
必ずしも悪ではない
悪いもののようにとらえられがちな、おうむ返しですが。
私の場合は、こういう理由があって、おうむ返しをしてしまうことがあります。
多数派さんにとっては、分かりにくい感覚かもしれません。
でも、私にとっては、多数派さんに適応するための術でもあるのです。