ADHDの原因は?
ADHDの原因
原因と言っても、まだ「これが原因だ!」と特定されているものはありません。
まだまだ、ADHDに関しては研究段階で、いくつかの候補が上がっている、という状態です。
ADHDの原因と考えられるもの
・生まれつきの脳の体質
・脳の機能の発達のアンバランス
・神経生物学的要因
・遺伝的要因
・環境的要因
など
これらのうち特定のものが原因となっているのではなく、様々な要因が複雑に絡み合って症状が出る、と考えられています。
生まれつきの脳の体質
これは、後述する神経学的要因と関係します。
脳内伝達物質の働きが悪いという、持って生まれた体質によるものと考えられます。
脳の機能の発達のアンバランス
画像診断の発達により、ADHDの人は、健常者に比べ、脳の前頭前部や尾状核、淡蒼球、小脳虫部といった部分が、小さいことがわかってきています。
これはつまり、脳が全体的にバランスよく発達せず、ところどころ発達に遅れがあることを意味する、と言われています。
人間の脳は、生まれてから長い時間をかけて完成します。
はじめは、生きるのに必要な部分が発達し、最後に、衝動や行動をコントロールする部分が発達することがわかってきています。
衝動や行動をコントロールするのは、前頭前部と呼ばれる部分です。
そこが発達するのが、およそ2~3歳ころ。
1年から2年かかって、ゆっくりと発達するといわれています。
ちょうど、「イヤイヤ期」とか「ギャング・エイジ」と呼ばれる年齢のころです。
何を言っても、何をしても「イヤ!」と言い。
時には手が付けられないほど泣き叫び。
自分の思い通りにならにことにかんしゃくを起こし。
そんな経験を積みながら、どうやって自分の衝動や行動をコントロールするか、学んでいるのです。
ADHDの人は、そのころに、脳がうまく発達しなかったのかもしれません。
自分の衝動や行動をコントロールする力の発達が遅れてしまいますが、発達が止まってしまうわけではありません。
ですから、ADHDの人は、成長とともに多動や衝動といった症状が、マイルドになっていくこともあります。
神経生物学的要因
ADHDの人は、上記のような脳の発達のアンバランス以外に、神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンの働きが悪いことが指摘されています。
ノルアドレナリンやドーパミンは、脳を興奮・覚醒させる物質です。
それらの物質が不足していることにより、脳の覚醒レベルが低下し、脳を起こそうとして多動が出るとも考えられています。
また、脳の覚醒レベルが低いことが原因で、不注意が起こると考えられています。
コンサータやストラテラは、そういった神経伝達物質に作用する薬です。
これらの薬で、ADHDの症状が改善することから、神経伝達物質の不足がADHDの症状を招いていると考えられています。
環境的要因
親がADHDであったり、落ち着きのない人であるなど、育った環境が子どもの行動に影響を及ぼしている、ということも考えられています。
遺伝的要因
遺伝については、少し長くなるので、次回の記事で説明します。
まだまだ研究途上
以上のように、ADHDが起こる仕組みについては、まだまだ研究段階であり、はっきりとしたことはわかっていません。
今後、もっと研究が進み、解明されることを期待します。