自閉症スペクトラム障害って、どんな障害?
自閉症スペクトラム障害と診断される条件
前回、自閉症スペクトラム障害とは、様々ある障害の中で、どの位置に存在するのか、ということをお話ししました。
では、自閉症スペクトラム障害とは、具体的に、どのような障害なのでしょうか?
自閉症スペクトラム障害と診断されるには、3つの障害がそろうことが必要とされています。
その3つの障害は、自閉症スペクトラム障害の定義の発案者にちなんで、「ウイングの3つ組」と呼ばれています。
自閉症スペクトラム障害における3つの障害(DSM-Ⅳによる)
①社会性の障害
・向かい合っていても視線が合わない。
・無理に視線を合わせようとすると嫌がって視線をそらしたり、顔をそむけたりする。
・名前を呼んでも、耳が聞こえていないかのように反応しない。
・人に関心を示さず、そばに人がいてもまるで誰もいないかのように振る舞う。
・他の子供に興味がなく、一緒に遊ぼうとしない。
・一人遊びが多く、大人が一緒に遊んであげようとすると嫌がる。
・異様にマイペースで、自分のペースを崩されると怒る。
・迷子になっても平気で、助けを求めることがない。
・母親を求めない、後追いをしない。
など。
②コミュニケーションの障害
・言葉が出ない、あるいは言葉が出るのが遅い。
・おうむ返し(即時性・遅延性)がある。
・ジャーゴン(宇宙語)がある。
・言葉は出ていても、イントネーションがおかしかったり、使い方がおかしい。
・一見流暢に話しているようで、実は話しているほど理解していない。
・ジェスチャーやアイコンタクトなど、言葉以外のコミュニケーションが少ない。
・表情や微妙な目くばせなどの、言葉以外のコミュニケーションが理解しにくい。
・表情が乏しく、喜んでいるのか怒っているのか分かりにくい。
・指差しをしない。
・大人の手を掴みクレーンのように動かしてものを取らせることがある(クレーン現象)。
・逆さバイバイがなおらなかったり、「ただいま」「おかえり」を言うべき立場が逆転してしまう。
など。
③想像力の障害
・手を目の前にかざして、光をすかして見るように眺める。
・手をひらひらさせたり、手を鳥がはばたくようにパタパタと振る(フラッピング)。
・その場でくるくると、バレリーナのように回り続ける。
・つま先立ちで歩く。
・その場でぴょんぴょん飛び跳ねる。
・体を前後に揺する(ロッキング)。
・体を横揺れさせる。
・貧乏ゆすりをする。
※以上のような行動を、常同運動と呼びます。
・光るもの(キラキラしたもの)や回るもの(ミニカーのタイヤや、ベビーカーのタイヤなど)を見つめ続ける。
・一つのことに異様に熱中し、ずっと同じ遊びを続ける。
※以上のような興味の偏りがある。
・特定のものやキャラクター、記号などに執着する。
・同じ肌触りの服しか着なかったり、いつも同じおもちゃで遊ぶ。
・物を一列に並べる(ミニカーを規則正しく一列に並べて遊ぶなど)
・ものの場所が変わると怒る。
・いつもと違う状況・環境になると、パニックやかんしゃくを起こす(いつもと違う道順をたどると怒るなど)
※以上のような強いこだわりが見られる。
以上、ざっと症状を上げてみました。
しかし、これらはごく一部の例です。
必ずここにかかれている症状が出るわけではありませんし、これ以外の症状が見られる場合もあります。
以上の3つの障害が確認されると、「自閉症」と診断されます。
如月の場合
①社会性の障害
目が合わない。
人とのかかわりが一方的。
何かする時に一人で行動することを好む
②コミュニケーションの障害
流暢に話せるが、時々意味を理解していない。
話言葉の理解が不十分。
相手の表情が読み取りにくい。
言葉の裏の意味を理解しにくい。あるいは、逆に深読みし過ぎてしまう。
誤解を招く表現が多い。
③想像力の障害
キラキラくるくるするものが好き(カレイドスコープつまり、万華鏡が好きです)。
手をひらひらさせる。
身体を横揺れさせる。
特定の服しか着ない。特定のデザインの服にこだわりがある。
物の置き場所が変わると怒る。
手順が変わるとイライラする。
環境が変わると不安になってパニックになる。
常にそわそわと動いている。
といったところです。
3つ組以外の特性
自閉症スペクトラム障害の人は、これら3つ組の障害の他にも、感覚の過敏や過鈍など、様々な特性を兼ね備えています。
それらの特性は、診断基準には含まれていませんが(最新の診断基準では、感覚過敏が含まれることになりました)、持ち合わせる場合が多いです。
次回は、常同運動や興味の偏り、こだわりについてお話ししましょう。
3つ組以外の特性については、また次回以降、お話しします。