自閉症スペクトラム障害ってなに?
自閉症のイメージ
最近、よく耳にするようになった「自閉症」。
「自閉症」ってどんなものか、ご存知ですか?
引きこもりのこと?
心を開かない子供のこと?
親の愛情が足りなかった子?
テレビばかり見て育った子?
犯罪者予備軍?
いいえ、どれも違います。
自閉症とは、脳の機能が生まれつき、多数派さんとは違う人たちのことを言います。
生まれつき、脳のつくりが、多数派さんとは異なっているために、多数派さんが理解できない行動を取ってしまったりします。
発達障害のこと
自閉症スペクトラム障害(自閉スペクトラム症とも)は、発達障害の一種です。
発達障害には、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、高機能広汎性発達障害、ADHD(注意欠如・多動性障害)、LD(読字障害・書字障害・算数障害などの学習障害、学習症とも)、発達性協調運動障害、トゥレット症候群などが含まれます。
これらの障害を、単独で抱えている場合もあれば、2つ・3つ・4つと重複して抱えている場合もあります。
自閉症スペクトラム障害
現在は、それら発達障害のうち、自閉症を中心とした、自閉症の仲間をひっくるめて、自閉症スペクトラム障害と呼んでいます。
自閉症スペクトラム障害の中には、従来以下のように呼ばれていた障害が含まれます。
・広汎性発達障害
・高機能広汎性発達障害
・特定不能の広汎性発達障害
自閉症スペクトラム障害の「スペクトラム」とは、虹のような連続体のことを言います。
虹には、7つの色があると言われています。
赤、ピンク、オレンジ、黄色、黄緑、青、紫。
それらの色は、ここからここまでが「赤」で、ここからここまでは「ピンク」で、とはっきりと区別できません。
徐々に、色が移り変わっていきます。
それと同じで、自閉症も重度から軽度、そして健常者まで、ひとつながりの連続体である、ととらえる考え方が主流になっています。
それが「自閉症スペクトラム障害」です。
グレースケールで表してみると、このようになります↓
左の真っ黒の部分が、重度の自閉症スペクトラム障害です。
右の真っ白の部分が、健常者です。
そして、その間には、様々な自閉の濃度が存在します。
真っ黒に近い、重度に近い自閉症スペクトラム障害もあれば。
真ん中の、灰色の中度の自閉症スペクトラム障害もいる。
そして、もっと色の薄い灰色の、健常者との境目の自閉症スペクトラム障害もあります。
その境目の人たちは、「グレーゾーン」と呼ばれたりします。
自閉症スペクトラム障害と知的障害は別のもの
自閉症スペクトラム障害=知的障害、ではありません。
自閉症スペクトラム障害と、知的障害は別のものです。
重度自閉症だと、知的障害を合併する確率が高くなるといわれていますが。
必ずしも、重度の自閉症だから知的障害であるとは、言いきれないのです。
そのため、このような分類ができます(真ん中の図)↓
左軸に自閉の濃度を、右軸に知的能力の高低を取っています。
・自閉症…自閉度が高く、知的能力がIQ70~75以下のもの
・高機能自閉症…自閉度が高く、知的能力がIQ70~75を超えるもの
・アスペルガー症候群…自閉度が比較的高く、幼児期に言語発達の遅れがみられなかったもの
※アスペルガー症候群と高機能自閉症は、分ける必要はないという考え方もあります
・PDD-NOS(特定不能の広汎性発達障害)
※自閉傾向のある知的障害(自閉度が低く、知的能力が低い)や、知的障害がなく、自閉傾向も軽いものを言う
これらすべてをひっくるめて、広汎性発達障害と呼んでいます。
広汎性発達障害=自閉症スペクトラム障害と考えていただいて、差し支えありません。
現在では、これらをすべてひとまとめにして、自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼んでいます。
呼称は、時代で変わりますから、ひとまとめになった自閉症スペクトラム障害も、また分類されるときが来るかもしれません。
では、自閉症スペクトラム障害とは、どのような障害なのか?
次回、解説いたしましょう。