kaleidoscope

自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

自閉は例えるならMT車

自動では動かない

人間は、生きる上でのいろいろな動作を、自動で行うようにできています。

目に入る景色から、必要な情報と必要でない情報を瞬時に選り分け、必要なものだけ見る。

耳に入る音から、必要な音と必要でない音を瞬時に選り分け、必要な音だけを聞く。

そういう、無意識に行われている情報の処理。


少数派である自閉症スペクトラムの人は、そのような、生きる上でのいろいろな処理を、手動で行っていると言われています。

だから、生きているだけでも、多数派さんよりも多くのエネルギーを必要としていて。

すぐに疲弊してしまう。

 


例えるなら、路上を走るMT車

最近では、街中を走る車のほとんどが、AT車です。

AT車は、面倒な作業を自動で行ってくれます。

MT車よりも作業が少ない分、簡単に運転することができます。

私でもエンストすることなく、スムーズに運転ができます。


それに比べて、MT車は、慣れないとふとした瞬間にエンストする。

手順を間違えればエンスト。

交差点でエンストしたら、大変です。


周りのAT車は、みんなすいすい走って行きます。

これは、人間で言うなら、自動で生きている多数派さん。

ちょっとしたことでエンストしてしまうMT車。

エンストするたびに、「邪魔だ!」とクラクションを鳴らされる。

これは、人間で言うなら、こまかい手動作業が必要な、少数派さん。


いつもと順番が違ったり。

入力のコマンドが少しでも違えば、エンストしてしまうのです。

そのエンストというのが、「パニック」にあたるものだと思うのです。

 

パニックにも、いろいろな形態があります。

泣き叫んだり。

壁などに頭を打ち付けたり。

その他の自傷行為だったり。

一見パニックに見えない、「フリーズ」だったり。


フリーズタイプの人は、完全に「エンスト」状態ですよね。

頭のエンジンが止まってしまって。

何も考えられなくなって。

行動することもできなくなる。

 

うまく走りたい

AT車の中で、エンストすることなくすいすい走るためには、MT車の運転に慣れなければなりません。

 

車なら、しばらく運転すれば慣れることでしょう。

しかし、人間の場合、もっと複雑な作業をしているので、なかなか慣れることができません。

自動で動かない身体に、いちいち細かい指令を出しながら、何とか人の邪魔にならないように生きていく。

それは、とても労力のいることです。


しかし、車のように、MT車は面倒だから、AT車に乗り換えよう!

なんてことは、できません。

生まれてきたMT車仕様の身体で、生きていくしかないんです。


AT車に混じって街中を走るMT車のように。

上手く「世間」という道を走って行けたらなぁ、と思います