kaleidoscope

自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

絵の新作「さくら」完成!

絵の新作、「さくら」が完成しました!

 

f:id:kisaragikou0220:20170316160236j:plain

日に日に、日差しも春らしくなり。

暖かくなってきました。

もうじき、桜が咲きますね!!

 

↓描きはじめ

 

f:id:kisaragikou0220:20170316160249j:plain

 

 

↓完成

 

f:id:kisaragikou0220:20170316160236j:plain

 

ちょっとさみしい気もしますが。

これで完成です。

 

最初は、周囲を青系の色で埋めるつもりでした。

でも、そうするとぜったい絵がうるさくなるよな…と思ったので。

これで完成とします。

 

れいに真ん中に描けずに、上下左右どちらかに寄ってしまいますが。

それも如月の画風ということで(笑)

 

これらの絵は、「わわわアールブリュット」さんで管理・販売・貸出をしていただいています。

過去の作品はこちらで見られます↓

・KOU kisaragi - わわわアールブリュットの ページ!

 

感覚過敏・感覚鈍麻について

感覚過敏と感覚鈍麻

 

前回までに、自閉症スペクトラム障害の3つの基本的な特性を取り上げました。

今回は、最新のDSMー5において、自閉症スペクトラム障害の診断基準に含まれるようになった感覚過敏・感覚鈍麻について触れようと思います。

 

感覚過敏は、ウイングの3つ組には含まれていません。

(DSM-Ⅳまでは診断の基準に含まれていませんでしたが、DSM-5からは基準に含まれるようになりました。DSM-5については、今後取り上げる予定です。)

 

しかし、感覚過敏は、自閉症スペクトラム障害を語るうえで、非常に重要です。

なぜなら、自閉症スペクトラム障害の人は、感覚過敏・感覚鈍麻を持ち合わせていることが多いからです。

 

人間の感覚には、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の五感があります。

また、それに加えて、身を守るための痛覚があります。

 

自閉症スペクトラム障害の人は、これらの感覚に異常を持合わせており、これらのうち、いくつかの感覚あるいはすべての感覚が敏感であることが多いのです。

また、逆に異様に鈍感であることもあります。

 

敏感であることを「過敏」、鈍感であることを「鈍麻」と呼びます。

痛覚以外の鈍麻は、本人にとって、あまり問題にはならないようです。

しかし、感覚の過敏は、とても苦しいものです。

 

では、具体的に感覚の過敏とはどういうものかを、見ていきましょう。

 

視覚過敏

 

・蛍光灯の光がまぶしい、太陽光がまぶしくて前が見えない

・道路が光ってまぶしい

・夜間、車のヘッドライトがまぶしくて、前が見えない

・文字が見えにくい

・本のページが光ったり、印刷された文字が光って見えにくい

・特定の模様を見ると、目が回ったり気分が悪くなったりする

・パソコンなどの画面がまぶしい

・人の多い場所では、視覚的情報が多すぎて目が回ってしまう、人酔いをする

など

 

ざっと挙げると、こんなところです。

光がまぶしい場合、サングラスを使うことで、少し楽になります。

また、釣りなどに使う偏光グラスも役に立ちます。

パソコンなどの画面が見にくいときは、ブルーライトカットレンズを使用したメガネをかけることで、刺激が少なくなります。

 

本などの文字が読みにくい場合、「アーレンシンドローム」を持ち合わせている場合があります。

その場合は、「アーレンレンズ」と呼ばれる特殊な色つきのレンズを使用したメガネを使うことで、文字が読みやすくなる場合もあります。

 

しかし、それは高価で手に入りにくいものです。

代用品として、アーレンシートと呼ばれる、特殊な色つきの透明なシートを使用することも可能です。

色つきの透明な下敷きなどで代用することも可能です。

合う色は個人個人で違いますので、いろいろ試してみるのも良いでしょう。

 

聴覚過敏

 

・特定の音をとても嫌がる(赤ん坊の泣き声が苦手など)

・嫌な音が聞こえると耳をふさぐ

・ちょっとした物音にびっくりして飛び上がる

・大声が苦手

・ザワザワした場所が苦手で、疲れ果ててしまったり、体調を崩す

・ザワザワした場所に居られなくて、逃げ出してしまう

・電車や車の走行音、モーター音を聞いていると疲れてぐったりする

・耳が聞こえすぎて、周りの音と、目の前の人の話し声とが聞き分けられない。

など

 

こんな感じです。

聴覚過敏の場合、普通の人にとっては何でもない音が、脳に突き刺さります。

大声を出されると、心臓が止まりそうになったり、恐怖でドキドキします。

とても怖いし、痛いです。

 

人の多い場所は、いわば音の洪水の状態になっています。

音の刺激はとてもつらく、耳や脳にぐさぐさと突き刺さり、脳を揺さぶり、酷い時は吐いてしまいます。

 

ですから、それらの攻撃的な音から、自分の身を守ることが必要です。

大人の発達障害の人で、聴覚過敏を持っている人たちは、デジタル耳栓やイヤーマフ(防音用)、ノイズキャンセリングヘッドホン、耳栓など、それぞれに合った道具を使い分けて、音の刺激から自分を守っています。

 

教室に居られなくて、飛び出してしまったりする子どもの場合、聴覚過敏がある場合があります。

もし、聴覚過敏の可能性がある子がいたら、大人の方が対策を考えてあげてください。

イヤーマフを使ったり、ノイズキャンセリングヘッドホンを使うことで、教室に居られるようになることもあります。

 

自分で自分を守る方法を、是非教えてあげてください。

それは甘えなどではなく、この社会で生きていくサバイバル・スキルを身につけることなのです。

 

触覚過敏

 

・人に触れられるのをいやがる

・電車などで、横並びに座れない

・化学繊維の服が着られない

・突然触れられるとパニックを起こす

・特定の手触り・肌触りのものを嫌う

・特定の食べ物の舌触りが苦手

など

 

触覚過敏があると、人に触れられる事が非常に苦痛です。

全身の毛が逆立つくらい、いやで、ぞっとします。

また、電車などの横並びの席に、知らない人と一緒に座ることも、ぞわぞわして気持ちが悪く、我慢なりません。

10センチ程度、隣の人と間隔があいていても、ダメな場合もあります。

 

また、化学繊維の服など、チクチクして着られなかったりします。

ハイネックの服が、首が締まる感じがして着られないこともあります。

学校の制服が着られない、という場合もあります。

私も、学校の制服(特に冬服)の襟が、首と擦れて痛く、着るのが苦痛でした。

 

触覚過敏で制服が着られない子に、無理に制服を着せることは、とんでもないストレスを与えてしまいます。

虐待に値する行為だと思います。

なかなか、学校の理解を得るのは難しいかもしれませんが、できるだけ無理に着せることのないよう、配慮をお願いしたいと思います。

これらの特性は、我慢できるものではないのです。

 

嗅覚過敏・味覚過敏

 

・特定の匂いを嫌がる

・特定の食べ物を嫌がる

・特定のメーカーの食べ物しか食べない

・香水などの匂いで気分が悪くなる

・教室など、食事も作業もすべて同じスペースで行うような場所では、絵の具や鉛筆、食事の匂いが混ざってしまって気分が悪くなる

など

 

嗅覚や味覚の過敏があると、極端な偏食になる場合があります。

普通の人には分からないような味の違いが分かってしまうため、特定のメーカーのものしか食べられなかったりします。

 

また、普通の人にはおいしいにおいや味に感じているものが、嗅覚・味覚過敏の人にとっては、とんでもないにおいや味に感じている場合があります。

たとえば、レタスのちょっとした苦みが、とてつもなく強い苦みに感じられるのです。

そのため、酷い偏食になってしまうのです。

 

また、おかずを一品ずつ食べるなど、食へのこだわりが出たりもします。

その場合、別のおかずの味が混ざってしまうのが嫌だ、ということが理由だったりします。

混ぜご飯だと、ご飯と具材の味が混ざって食べられない、ということもあるのです。

 

自閉症スペクトラム障害の人の偏食には、単なる好き嫌いとは違う理由があります。

匂い、味、舌触り。

色々な理由が、あるのです。

食べることを無理強いすることのないよう、お願いします。

 

ただ、非常に繊細な舌や嗅覚を持っている場合、料理人やソムリエには向いているかもしれません。

 

痛覚過敏・痛覚鈍麻

 

・ちょっとした怪我でも、大騒ぎして痛がる

・大人になっても、注射で涙して痛がる

・体の中のちょっとした痛みに敏感で、腹痛などが通常より強く感じられる

など

 

痛覚の過敏があると、このようなことが起きます。

しかし、痛覚の過敏がある場合は、身体の不調に気付きやすいので、まだよいのです。

 

問題は、痛覚鈍麻です。

怪我をしても気が付かない。

病気をしていても、気が付かない。

 

痛みに気づきにくいため、怪我をしていても、病気であっても、気づけません。

そのため、怪我や病気が重症化する場合があります。

痛覚鈍麻がある、もしくは疑われる場合、当人の様子をしっかり観察することが必要です。

 

また、自閉症スペクトラム障害の人は自己モニタリングがうまくできず、自分の体調を把握することが苦手です。

ですので、特に子供の場合、周囲の大人がしっかりと様子を観察することが大事です。

 

感覚過敏を理解することの難しさ

 

感覚は、人それぞれ固有のものであり、他人に体験してもらうことはできません。

ですので、その辛さを味わってもらうことは、非常に難しいことです。

理解も、なかなかしてもらえないでしょう。



ブログテーマに、今後「発達障害 感覚のこと」を設置します。

そちらに、私の感覚のことについて、詳しく書いていきす。

もうすこしわかりやす書きますので、よろしければご一読くださいませ。

社会性の障害について

社会性の障害について

 

前々回の「想像力の障害」、前回の「コミュニケーションの障害」に続いて、今回は「社会性の障害」についてお話ししましょう。

 

社会性の障害

 

・向かい合っていても視線が合わない。

・無理に視線を合わせようとすると嫌がって視線をそらしたり、顔をそむけたりする。   

・名前を呼んでも、耳が聞こえていないかのように反応しない。

・人に関心を示さず、そばに人がいてもまるで誰もいないかのように振る舞う。

・他の子供に興味がなく、一緒に遊ぼうとしない。

・一人遊びが多く、大人が一緒に遊んであげようとすると嫌がる。

・異様にマイペースで、自分のペースを崩されると怒る。

・迷子になっても平気で、助けを求めることがない。

・母親を求めない、後追いをしない。

・敬語が使えない

など

 

以上が、よく言われる社会性の障害です。

主に子どもの行動を書いていますが、大人にも社会性の障害はあります。

視線が合わない

 これは、コミュニケーションの障害としても、取り上げられます。

人間は通常、コミュニケーションを行う際、目と目を合わせて、言葉に表しきれない情報を、やり取りしています。

しかし、自閉症スペクトラム障害の人には、そのような非言語的コミュニケーションは、非常にわかりにくいものです。

 

また、目と目が合うと、とてつもない恐怖を感じます。

ガラの悪い人に、ガン飛ばされる状態を思い描いてください。

多数派さんでも、ぎょっとすると思います。

自閉症スペクトラム障害の人にとって、目と目が合うということは、そのくらい怖いことなのです。

自閉症の人は、人間と動物の間の駅のような存在

 

目と目を合わせて会話をすることがマナーなのは、人間だけだと言われています。

ネコやイヌなどの動物にとって、相手の目を見つめるというのは、「ケンカを売る」という行為だそうです。

相手に対し敵意があり、相手の目を見て威嚇をするのです。

 

自閉症スペクトラム障害の人は、古代の人間の感覚を残し持っているとも言われています。

自閉症の動物学者として有名な、テンプル・グランディン博士は、「自閉症は人間と動物とをつなぐ、駅のようなものである」とおっしゃっています。

そう考えると、自閉症スペクトラム障害の人が、相手の目を見ることに恐怖を感じることは、当たり前だと考えられます。

遺伝子に組み込まれた、無意識の感覚で「威嚇されている」と感じてしまうのかもしれません。

呼びかけに反応しない

 

呼びかけても反応しないということに関しては、「誰に対してよびかけているのかが分からない」ということがあると思います。

突然「ねぇ、○○のことなんだけど…」と話しかけられた時。

多数派さんは、即座に、それが自分に向けられた言葉なのか、他人に向けられた言葉なのか、判断できるようです。

 

しかし、自閉症スペクトラム障害の人は、それが判断できません。

そもそも、自分に話しかけられている、という感覚がないのです。

だから、「無視をしている」ように見えてしまうのです。

 

また、何かに熱中しているときに話しかけられても、気付きません。

一つのことに集中してしまうという特性があるためです。

その特性は、時には寝食をも忘れてしまうほどのものです。

ですので、ちょっとやそっとの呼びかけでは、反応できません。

 

他人に興味がない

 

他の人に興味がなく、関わらないというのは、1人で自分の世界で、自分のルールで遊んでいるのが楽しいからです。

自然とたわむれたり、何かを考えたりするのが楽しいからです。

そこには、他人は必要ありません。

だから、敢えて他人に関わり行く必要はないのです。

 

他人に関わらなければ、自分のペースを崩されることもありません。

他人に関わるということは、自分の世界に他人を入れることです。

他人が入ってきた途端、自分の世界は崩れてしまいます。

他人が入ってこなければ、自分で作り上げた、安定した世界で穏やかに過ごすことができます。

 

しかし、周囲は他人に合わせ、一緒に行動することを求めます。

それは非常にストレスのかかることです。

コミュニケーションがうまく取れない状態で、他人とかかわることは、とてもエネルギーを消費します。

そんなにエネルギーを消費してまで、他人とかかわる必要があるのだろうか?

私はそう思っています。

 

敬語が使えない

 

敬語が使えないことに関しては、ある程度の年齢にならないと、特性として把握できません。

健常の子であれば、小学校中学年くらいになれば、上下関係というものを認識して、年上の人に対して丁寧語で話すことができるようになります。

しかし、自閉症スペクトラム障害の人の場合、相手の立場が上であろうと、いわゆるタメ口で話してしまいます。

 

これは、社会的には非常に問題のある行動です。

上下関係に厳しい日本では、特に問題となります。

 

しかし、自閉症スペクトラム障害の人に悪気はないのです。

良くも悪くも、誰に対しても「対等」なのです。

相手の社会的立場など関係なく。

相手を、1人の人間としてとらえているのです。

自分と同じ、対等な1人の人間として。

世の中で一番、相手を平等に扱っているのかもしれません。

それはある意味、凄いことだと思っています。

 

障害について考えることは、みんなが生きやすい社会について考えること

 

障害と言ってしまえば、それまで。

しかし、少し見方を変えれば、それは能力かもしれない。

「社会性って、なんなのか?」

自閉症スペクトラム障害の人の障害を考えることは、多数派さんも含め、みんなが生きやすい社会について、考え直すきっかけとなるかもしれません。

コミュニケーションの障害について

自閉症におけるコミュニケーション障害とは?

 

前回は、想像力の障害についてのお話でした。

今回は、自閉症スペクトラム障害における、コミュニケーションの障害について、お話ししたいと思います。

 

コミュニケーションの障害

 

 

・言葉が出ない、あるいは言葉が出るのが遅い。

・おうむ返し(即時性・遅延性)がある。

ジャーゴン(宇宙語)がある。

・言葉は出ていても、イントネーションがおかしかったり、使い方がおかしい。

・一見流暢に話しているようで、実は話しているほど理解していない。

ジェスチャーやアイコンタクトなど、言葉以外のコミュニケーションが少ない。

・表情や微妙な目くばせなどの、言葉以外のコミュニケーションが理解しにくい。

・表情が乏しく、喜んでいるのか怒っているのか分かりにくい。

・指差しをしない。

・言葉で要求を伝えず、大人の手を掴みクレーンのように動かしてものを取らせることがある(クレーン現象)。

・「ただいま」「おかえり」を言うべき立場が逆転してしまう。

 

ざっと挙げると、このような症状です。

 

言葉がでない、言葉が出るのが遅い

 

言葉が出ない、言葉が出るのが遅い、というのは、解説の必要はないでしょう。

保健所での乳幼児健診でもチェックされる内容です。

保健所で、言葉が遅いことを指摘された場合、比較的早く自閉症スペクトラムの疑いとのことで、専門家を紹介されることと思います。

 

話せているのにコミュニケーション障害?

 

問題は、言葉が出ている場合です。

しかも、年齢相応に話せる場合。

その場合、自閉症スペクトラム障害が、見逃される場合があります。

学童期や、大人になってから、自閉症スペクトラム障害であることが発覚する場合、たいてい言葉の遅れのない状態です。

 

しかし、言葉の遅れがなかったからと言って、言語的コミュニケーションに問題がないわけではありません。

言葉の裏の意味が読めなかったり、冗談や皮肉が分からないという、困ったことが起きてしまいます。

そのため、人間関係がうまく築けず、二次障害を引き起こしてしまうこともあります。

 

気持ちを言葉にすることが苦手

 

自分の気持ちを言葉にして表すことに難があり、怒りや不快を溜めこんでしまいがちです。

嬉しいときの表現も苦手なため、周囲と喜びを分かち合っていないようにみられてしまい、「つまらない奴」と思われてしまうこともあります。

 

話しているほどに理解していない

 

ぺらぺらと流ちょうに話しているのに、実際にはそれほど理解していない、という場合もあります。

それは、どこかで聞いた言葉を、何となく理解した感じでそのまま使用している場合があるからです。

いわば、「他人の言葉を借りて」話している状態です。

 

また、発信はきちんとできていても、同じレベルで相手が話すと、話し言葉の理解が追い付かないことがあります。

その場合、「何だこいつ、話している割にはこちらの言うことが理解できていないじゃないか」と思われてしまうのです。

 

話せるのにコミュニケーションが成り立ちにくいということは、理解されにくく、本人も非常に苦労するのです。

 

エコラリア(おうむがえし)

 

自閉症スペクトラム障害の特徴として、よく取り上げられるエコラリア(おうむ返し)にも、いろいろなパターンがあります。

一番わかりやすいのは、単に言われたことをそのまま繰り返すタイプ(即時性エコラリア)でしょう。

例)「お茶飲む?」と聞かれて「お茶飲む?」と答える

 

この場合、「聞かれていることの意味が分からない」ときと、「聞かれたことに対して答えている」場合とがあります。

前者の場合、「わかりません」の意味です。

後者の場合、「お茶を飲みます」と答えたいけれど、なんといっていいかわからないから、相手の言ったことを繰り返すことで自分の意思を表現しています。

 

どちらか確認したい場合、「お茶飲む?ジュース飲む?」と、選択肢を与えてみるといいかもしれません。

「ジュース飲む?」と返ってきたとしましょう。

もう一度、今度は「ジュース飲む?お茶飲む?」と聞いてみます。

ここで、「お茶飲む?」と返ってきたら、それは言葉の意味が分かっていない、単に最後に聞こえた言葉をおうむ返ししている、ととらえていいでしょう。

もし、「ジュース飲む?」と返ってきたら、それは意思表示ととらえるべきだと思います。

 

また、エコラリアには遅延性と呼ばれるものもあります。

たとえば、電車に乗ったとしましょう。

電車に乗るときに、「〇番線から、電車が発車します。」と聞えました。

数十分、或いは数時間、数日たってから、突然「〇番線から、電車が発車します」とおうむ返しが出ることがあります。

これは、その時聞いたフレーズが頭に残っていて、なんとなく思い出したから口に出している、ということが多いと思います。

 

多数派さんでも、あるCMの曲やキャッチコピーが頭から離れなくなった!という経験が、あることでしょう。

遅延性エコラリアは、それと同じ状況だと考えていただければ、ご理解いただけるかと思います。

 

エコラリアと言葉遊び

 

エコラリアには、単に音の連なりを楽しんでいる、という場合があります。

要するに、「言葉遊び」です。

 

「A4でえーよん!」というCM…聞き覚えがありますよね?(笑)

このように、韻を踏んでいる言葉が楽しくて、繰り返し言っている場合もあります。

誰かが発言したことが、たまたま韻を踏んでいれば、ついついその言葉を繰り返してしまうこともあります。

 

ジャーゴン(宇宙語)

 

ジャーゴン(宇宙語)については、何でしょう…とにかく、地球語が不便過ぎるのが悪いんだ!ということです(笑)

地球語で表現できないときに、宇宙語が飛び出します。

宇宙語って、便利なんですよ?

いろんな意味を発信できますから。

 

相手の表情が読めない、目が合いにくい

 

相手の表情が読めない・目くばせが分からない、目が合いにくいというのは、相手の顔や目を見ることが苦手だからです。

相手の目を見ながら話すと、「目を見る」ことと「話を聞く」ことと「返事をする」という、3つの作業が必要になります。

しかし、自閉症スペクトラム障害の人は、いくつもの作業を一度にこなすことが苦手です。

ですので、どれかを削らなければなりません。

 

人の目というのは、ものすごく強く物事を訴えかけてきます。

それを受け止めるのは、とてもエネルギーがいります。

ですから、話の内容を理解するためには、相手の目を見ないという選択が必要になります。

 

また、表情も同じく、コロコロ変わり、読み取るのにエネルギーを消費します。

話を理解するためには、受け取る情報を絞らざるを得ないのです。

 

大体、解説が必要なのは、このようなところでしょうか。

 

コミュニケーションの障害は、さまざま

 

一口にコミュニケーションの障害といっても、内容は多岐にわたるのです。

言葉が流暢に話せるからと言って、言語コミュニケーションに異常がないわけではないのです。

常同運動、興味のかたより、こだわりについて

前回の記事で、「ウイングの3つ組」についてお話ししました。

その3つ組の3つ目、「想像力の障害」で取り上げた、常同運動と興味の偏り、こだわりについて、今回はお話ししたいと思います。

 常同運動

・手を目の前にかざして、光をすかして見るように眺める

・手をひらひらさせたり、手を鳥がはばたくようにパタパタと振る(フラッピング)。

・その場でくるくると、バレリーナのように回り続ける。

・つま先立ちで歩く。

・その場でぴょんぴょん飛び跳ねる。

・体を前後に揺する(ロッキング)。

・体を横揺れさせる。

・貧乏ゆすりをする。

 

如月の場合

以上のうち、私自身が取る行動について、解説してみましょう。

手を目の前にかざして、向こうの景色を見るのは、見え方の変化を楽しんでいると解説されます。

実際に、目の前に手をかざしてみてください。そして、そのまま目の前で上下に動かしてみてください。

顔に当たる光の量が変化し、ちらちらと動く、木漏れ日のように感じます。木漏れ日は、とても美しいです。

私は、そう感じます。美しい景色を作り出すために、行っているのではないかと考えています。  

 

手をひらひらさせたり、パタパタと振ることについては、興奮したり不安だったりする時に出る行動だと言われています。

確かに、私自身の感覚としても、興奮していると出やすいと思います。しかし、それとは別に、単に「そこに手があるから」振っているだけ、ということも多々あります。手持無沙汰なときに、なんとなく手遊び感覚でパタパタしていることが多いです。

 

体を横に揺するのは、これも手持無沙汰の時が多いです。暇だから、横揺れをすることで、身体に刺激を与えようとしているように思います。暇を持て余した時に、することがないので身体を揺らしている、くらいの感覚です。

貧乏ゆすりも、似たような感覚です。 

 興味のかたより

 

・光るもの(キラキラしたもの)や回るもの(ミニカーのタイヤや、ベビーカーのタイヤなど)を見つめ続ける。

・一つのことに異様に熱中し、ずっと同じ遊びを続ける。

 

如月の場合

私も、キラキラ光るものや、回るものが大好きです。

キラキラと光るものは、美しいです。太陽からの贈り物である光が、私と戯れてくれるように感じます。

また、回るものはその回転の美しさに目を引かれます。おもちゃの車のタイヤを、飽きずに回し続けることができます。

ギアがかみ合ってぐるぐる回る様子は、その美しさに惚れ惚れします。

 

一つのことに熱中してしまうのは、特性でもあります。これは、「過集中」と呼ばれます。寝食も忘れるほどの長い過集中もあれば、数時間程度の過集中もあります。

しかし、その過集中が時にはとんでもない能力へとつながることもあります。

こだわり

 ・特定のものやキャラクター、記号などに執着する。

・同じ肌触りの服しか着なかったり、いつも同じおもちゃで遊ぶ。

・物を一列に並べる(ミニカーを規則正しく一列に並べて遊ぶなど)

・ものの場所が変わると怒る。

・いつもと違う状況・環境になると、パニックやかんしゃくを起こす(いつもと違う道順をたどると怒るなど)

・同じメーカーのものでないと食べられない

 

如月の場合

こだわりの中には、感覚の過敏に由来するものもあります。

たとえば、同じ服しか着ないのは、感覚の過敏があるために、肌触りが我慢ならない生地があるためです。

 

私自身、学校の制服の生地(特に冬服)が痛くて、着られませんでした。セーラー服だったのですが、首筋に制服の生地が当たり、皮膚とこすれて痛くてたまらないのです。

 

当時はまだ、自分が自閉症スペクトラム障害だなんて知りませんでしたから、我慢して無理やり着ていました。しかし、これは相当なストレスでした。

制服が着られない子には、配慮が必要でしょう。

 

物の場所が変わると怒るのは、物の置き場所が決まっているからです。それは、たいてい「マイルール」です。

本人が勝手に決めた置き場所なのですが、本人にとっては、そのものはその場所になくてはならないのです。少しでも場所が違うと、とても気持ちが悪くて、置き場所を修正してしまいます。

なぜかは分かりませんが、とにかくとてつもなく気持ちが悪いです。

 

いつもと違う状況・環境になると、パニックやかんしゃくを起こすのは、不安だからです。

いつもと同じ状況・環境であれば、これから起こることの見通しがききます。しかし、環境や状況が変わってしまうと、これから何が起こるのか、まったく想像ができなくなってしまいます。

そのため、頭の中が不安でいっぱいになり、怖くて仕方なくなり、パニック状態に陥ってしまいます。そして、時にはイライラが爆発して、かんしゃくを起こしてしまいます。

 

想像力の障害と言われるもの

 

想像力の障害については、傍から見ているだけでは、理解不能な行動が多いことでしょう。

一見、想像力が欠如しているからそのような行動をとるように思われがちですが。

想像力の障害の例として、「見通しがつかないことへの不安」があげられます。

しかし、それは想像ができないから不安なのではなく、実際には、「もし○○が起きたらどうしよう」など、様々な悪いパターンの想像をしてしまって不安になり、パニックになることも多々あります。

想像力の欠如というよりも、想像力の暴走と言った方がいいかもしれません。

 

本人にとってもつらいことである

 

これらの症状は、本人にとっては、とても重要な問題であり、一番苦しいことでもあるのです。

こだわりは、本人が安心して生きるための、本人なりの工夫でもあります。

人に迷惑をかけないこだわりであれば、大目に見てください。

そうすることで、本人は落ち着いていられるのです。

どうか、ご理解をお願いします。

 

感覚過敏に関しては、また後日お話しいたします。

自閉症スペクトラム障害って、どんな障害?

自閉症スペクトラム障害と診断される条件

 

前回、自閉症スペクトラム障害とは、様々ある障害の中で、どの位置に存在するのか、ということをお話ししました。

 

では、自閉症スペクトラム障害とは、具体的に、どのような障害なのでしょうか?

自閉症スペクトラム障害と診断されるには、3つの障害がそろうことが必要とされています。

その3つの障害は、自閉症スペクトラム障害の定義の発案者にちなんで、「ウイングの3つ組」と呼ばれています。

自閉症スペクトラム障害における3つの障害(DSM-Ⅳによる)

①社会性の障害

・向かい合っていても視線が合わない。

・無理に視線を合わせようとすると嫌がって視線をそらしたり、顔をそむけたりする。   

・名前を呼んでも、耳が聞こえていないかのように反応しない。

・人に関心を示さず、そばに人がいてもまるで誰もいないかのように振る舞う。

・他の子供に興味がなく、一緒に遊ぼうとしない。

・一人遊びが多く、大人が一緒に遊んであげようとすると嫌がる。

・異様にマイペースで、自分のペースを崩されると怒る。

・迷子になっても平気で、助けを求めることがない。

・母親を求めない、後追いをしない。

など。

②コミュニケーションの障害  

・言葉が出ない、あるいは言葉が出るのが遅い。

・おうむ返し(即時性・遅延性)がある。

ジャーゴン(宇宙語)がある。

・言葉は出ていても、イントネーションがおかしかったり、使い方がおかしい。

・一見流暢に話しているようで、実は話しているほど理解していない。

ジェスチャーやアイコンタクトなど、言葉以外のコミュニケーションが少ない。

・表情や微妙な目くばせなどの、言葉以外のコミュニケーションが理解しにくい。

・表情が乏しく、喜んでいるのか怒っているのか分かりにくい。

・指差しをしない。

・大人の手を掴みクレーンのように動かしてものを取らせることがある(クレーン現象)。

・逆さバイバイがなおらなかったり、「ただいま」「おかえり」を言うべき立場が逆転してしまう。

など。

③想像力の障害

・手を目の前にかざして、光をすかして見るように眺める。

・手をひらひらさせたり、手を鳥がはばたくようにパタパタと振る(フラッピング)。

・その場でくるくると、バレリーナのように回り続ける。

・つま先立ちで歩く。

・その場でぴょんぴょん飛び跳ねる。

・体を前後に揺する(ロッキング)。

・体を横揺れさせる。

・貧乏ゆすりをする。

 ※以上のような行動を、常同運動と呼びます。

・光るもの(キラキラしたもの)や回るもの(ミニカーのタイヤや、ベビーカーのタイヤなど)を見つめ続ける。

・一つのことに異様に熱中し、ずっと同じ遊びを続ける。

※以上のような興味の偏りがある。

・特定のものやキャラクター、記号などに執着する。

・同じ肌触りの服しか着なかったり、いつも同じおもちゃで遊ぶ。

・物を一列に並べる(ミニカーを規則正しく一列に並べて遊ぶなど)

・ものの場所が変わると怒る。

・いつもと違う状況・環境になると、パニックやかんしゃくを起こす(いつもと違う道順をたどると怒るなど)

※以上のような強いこだわりが見られる。

 

以上、ざっと症状を上げてみました。

しかし、これらはごく一部の例です。

必ずここにかかれている症状が出るわけではありませんし、これ以外の症状が見られる場合もあります。

以上の3つの障害が確認されると、「自閉症」と診断されます。

 

如月の場合

 

 

①社会性の障害

 目が合わない。

 人とのかかわりが一方的。

 何かする時に一人で行動することを好む

 

②コミュニケーションの障害

 流暢に話せるが、時々意味を理解していない。

 話言葉の理解が不十分。

 相手の表情が読み取りにくい。

 言葉の裏の意味を理解しにくい。あるいは、逆に深読みし過ぎてしまう。

 誤解を招く表現が多い。

 

③想像力の障害

 キラキラくるくるするものが好き(カレイドスコープつまり、万華鏡が好きです)。

 手をひらひらさせる。

 身体を横揺れさせる。

 特定の服しか着ない。特定のデザインの服にこだわりがある。

 物の置き場所が変わると怒る。

 手順が変わるとイライラする。

 環境が変わると不安になってパニックになる。

 常にそわそわと動いている。

といったところです。

 

3つ組以外の特性

 

自閉症スペクトラム障害の人は、これら3つ組の障害の他にも、感覚の過敏や過鈍など、様々な特性を兼ね備えています。

それらの特性は、診断基準には含まれていませんが(最新の診断基準では、感覚過敏が含まれることになりました)、持ち合わせる場合が多いです。

次回は、常同運動や興味の偏り、こだわりについてお話ししましょう。

3つ組以外の特性については、また次回以降、お話しします。

自閉症スペクトラム障害ってなに?

自閉症のイメージ

 

最近、よく耳にするようになった「自閉症」。

自閉症」ってどんなものか、ご存知ですか?

 

引きこもりのこと?

心を開かない子供のこと?

親の愛情が足りなかった子?

テレビばかり見て育った子?

犯罪者予備軍?

 

いいえ、どれも違います。

 

自閉症とは、脳の機能が生まれつき、多数派さんとは違う人たちのことを言います。

 

生まれつき、脳のつくりが、多数派さんとは異なっているために、多数派さんが理解できない行動を取ってしまったりします。

 

発達障害のこと

 

自閉症スペクトラム障害自閉スペクトラム症とも)は、発達障害の一種です。

発達障害には、自閉症高機能自閉症アスペルガー症候群、広汎性発達障害、高機能広汎性発達障害ADHD(注意欠如・多動性障害)、LD(読字障害・書字障害・算数障害などの学習障害、学習症とも)、発達性協調運動障害、トゥレット症候群などが含まれます。

 

これらの障害を、単独で抱えている場合もあれば、2つ・3つ・4つと重複して抱えている場合もあります。

 

自閉症スペクトラム障害

 

現在は、それら発達障害のうち、自閉症を中心とした、自閉症の仲間をひっくるめて、自閉症スペクトラム障害と呼んでいます。

 

自閉症スペクトラム障害の中には、従来以下のように呼ばれていた障害が含まれます。

自閉症(カナ―タイプの自閉症・小児自閉症

高機能自閉症

アスペルガー症候群

・広汎性発達障害

・高機能広汎性発達障害

・特定不能の広汎性発達障害

 

自閉症スペクトラム障害の「スペクトラム」とは、虹のような連続体のことを言います。

虹には、7つの色があると言われています。

赤、ピンク、オレンジ、黄色、黄緑、青、紫。

それらの色は、ここからここまでが「赤」で、ここからここまでは「ピンク」で、とはっきりと区別できません。

徐々に、色が移り変わっていきます。

 

それと同じで、自閉症も重度から軽度、そして健常者まで、ひとつながりの連続体である、ととらえる考え方が主流になっています。

それが「自閉症スペクトラム障害」です。

 

グレースケールで表してみると、このようになります↓

f:id:kisaragikou0220:20170312173528j:plain

左の真っ黒の部分が、重度の自閉症スペクトラム障害です。

右の真っ白の部分が、健常者です。

そして、その間には、様々な自閉の濃度が存在します。

 

真っ黒に近い、重度に近い自閉症スペクトラム障害もあれば。

真ん中の、灰色の中度の自閉症スペクトラム障害もいる。

そして、もっと色の薄い灰色の、健常者との境目の自閉症スペクトラム障害もあります。

その境目の人たちは、「グレーゾーン」と呼ばれたりします。


自閉症スペクトラム障害と知的障害は別のもの

 

自閉症スペクトラム障害=知的障害、ではありません。

自閉症スペクトラム障害と、知的障害は別のものです。

重度自閉症だと、知的障害を合併する確率が高くなるといわれていますが。

必ずしも、重度の自閉症だから知的障害であるとは、言いきれないのです。

 

そのため、このような分類ができます(真ん中の図)↓

f:id:kisaragikou0220:20170312173658j:plain

左軸に自閉の濃度を、右軸に知的能力の高低を取っています。

自閉症…自閉度が高く、知的能力がIQ70~75以下のもの

高機能自閉症…自閉度が高く、知的能力がIQ70~75を超えるもの

アスペルガー症候群…自閉度が比較的高く、幼児期に言語発達の遅れがみられなかったもの

 ※アスペルガー症候群高機能自閉症は、分ける必要はないという考え方もあります

・PDD-NOS(特定不能の広汎性発達障害

 ※自閉傾向のある知的障害(自閉度が低く、知的能力が低い)や、知的障害がなく、自閉傾向も軽いものを言う

 

これらすべてをひっくるめて、広汎性発達障害と呼んでいます。

広汎性発達障害自閉症スペクトラム障害と考えていただいて、差し支えありません。

 

現在では、これらをすべてひとまとめにして、自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼んでいます。

呼称は、時代で変わりますから、ひとまとめになった自閉症スペクトラム障害も、また分類されるときが来るかもしれません。

 

 

では、自閉症スペクトラム障害とは、どのような障害なのか?

次回、解説いたしましょう。