大学1回生②
講義
新入生キャンプから帰った私たちは、本格的に講義を受ける準備に入りました。
まず、時間割を自分で決めます。
1回生で必ず取らなければならない単位や、卒業までの必須科目、選択科目など、ルールがあります。
そして、シラバス(講義内容・成績のつけ方などを書いた、辞書並みの分厚さの資料)を読んで。
講義の時間がかち合わないように、それでもって必須科目がちゃんと受けられるように。
開いている時間に受けられる講義で、選択科目になっているものは受けて。
結構大変です。
でも、私はこういうパズルのようなことが得意なので、とりあえずほとんどの時間を講義で埋めました。
あとあと、これが正解だったことが分かります。
1時限目の授業は、高卒すぐの1回生の間に取っておくのが一番です。
そして、学校で、イツミ・アイ・ハツエ・ヨウコにどの授業を受けるのか聞き。
あいている時間や、どっちでもいい授業などは、彼女たちが受ける講義に変えたりもしました。
そして、みんなでパソコンセンターの棟で、授業登録をしました。
1回生の間は、授業はほとんど一般教養でした。
外国語の講義
英語は、入学してすぐ受けたTOEICの成績を基に、クラス分けされました。
私は、1番上のクラスでした。
高校時代のあの成績で(笑)
だから、英語の授業はそれなりに難しいものでした。
でも、高校までの授業とは違い、結構楽しかった。
英会話教室のように、本物の外国人の先生の授業もありました。
授業の説明も英語のみですが、簡単な英語を使ってくれたことと、ゲーム形式で学ぶ方法を使ってくれたため、楽しく学ぶことができました。
第二外国語として、中国語も学びました。
これは、楽しかった!
耳のいい私は、先生の発音をそのまま真似することで、完璧な発音をすることができました。
先生にあてられて、私が答えるたびに、先生が「素晴らしい!」とほめるのです。
音読テストも、クラスの中で2・3人しか取れなかった、A+を頂きました。
その時、真後ろに座っていたチセが、後々仲良くなります。
ゼミ
ゼミが大変でした…。
一番最初のゼミの授業では、図書館に連れて行かれます。
そして、図書館の中を見学し、歴史関係の辞書はここ。
歴史関係の史料は、4階書庫。
検索はパソコンで。
というように、すべて自分で調べられるよう、史料の場所を教えてもらいます。
そして、ゼミではすぐ、発表がありました。
1回生では、全員が前期・後期で必ず日本史・世界史を学びます。
私たちのゼミは、前期は世界史でした。
ゼミの担当は、他大学から来ている、20代の女性講師でした。
この先生がまた厳しくて!
名前の漢字を別読みして、「トクコ」と呼んでいたのですが。
ゼミの前になると、「トクコや~」とげっそりしていました(笑)
最初に、「世界史で、人生に一度でもいいから移動した人物」というテーマを与えられました。
その人物を一人選び、その人について発表しなさい、というのです。
持ち時間は、質疑応答も含めて、20分。
だから、15分は話さなければなりません。
発表の手順なども教えてもらい。
本格的に、ゼミが始まりました。
私は、名前の順が後の方だったので、発表までに時間がありました。
しかし、最初のほうで発表した子が、先生にぼろくそに言われ。
まぁ、「研究発表」の基礎を叩きこんでくれたから、よかったのだと後から思いましたが。
その恐怖で、みんなビビりながら発表していました。
そして、発表の後は、先生やみんなからの質問があり。
答えられないと、調べたりない!と叱られ。
一番最後に、みんなが感想や質問を書き。
先生が、封筒に入れて渡してくれます。
当然、先生のコメントも入っています。
こわかったー!!
私は、「ネルソン提督」をテーマに選びました。
ナポレオンとも戦った人です。
高校の世界史の教科書を開いて、興味のある人を探すと、この人でした。
海軍の提督として活躍しているので、私にとっては、絶好のテーマでした。
そして、他の子と絶対テーマがかぶらないだろうと思ったので、決めました。
充分に史料をあつめ、15分で話す練習を繰り返し。
私は、本番に臨みました。
発表が終わりました。
何を突っ込まれるのかと、壇上でひやひや。
ところが、先生は大して何も質問せず。
私が、艦の専門用語、「面舵・取り舵」や「急速回頭」、「Z旗」等を多用したため、そういった用語の説明をさせられただけで終わりました。
他の子は、多分話についてこられなかったのでしょう、質問はありませんでした。
みんなと違うことが認められる
先生が一言。
「○○さん(わたしのこと)が、みんなと発表の仕方が違うんだけど、何かわかる?」と。
「わからん?みんなは、一人の人間の一生を発表したけど、○○さんは、一人の人間の、一部の時間だけを切り取って発表しています。こういう方法も、あるのです。みんなとは違う方法をとっていて、素晴らしい。」と。
そう、私は、よくNHKの「その時歴史が動いた」のような歴史番組を見ていたので、その人が一番輝いた瞬間だけを取り出して、発表したのです。
ネルソン提督に関する史料が少なく、そうせざるを得なかったこともありますが。
ここでは、みんなと違うことが、認められました。
みんなが先生のお手本を見て、その通りに発表したのに対し。
私はそれにとらわれず、自分の方法で発表した。
それが、認められました。
大学って、そういうところです。
先生方も、変わってます。
私はようやく、自分がはみ出していても認めてくれるところを、見つけました。
こうして、はじめて学ぶことの楽しさを、知りました。
大学は、自分で学ぶところです。
私は、学ぶことに、意欲的になっていきました。