悲観脳の変え方
以前放送された、NHK「心と脳の白熱教室」の第4回目の講義の感想です。
3回目の講義は、「サイコパス」についての講義だったので、感想は省略しています。
遺伝か環境か
4回目のテーマは、「楽観脳・悲観脳は、遺伝的なものか?環境が要因か?」というものでした。
結論から言うと、両方がとても重要な要素だ、というのです。
うつや不安障害には、脳内物質のセロトニンが関係している、と言われています。
それに関わる重要な遺伝子が、「セロトニン運搬遺伝子」というものです。
その「セロトニン運搬遺伝子」には、長いものと短いものがあり。
長いタイプの遺伝子を持つ人は、ポジティブなものに反応しやすく、短いタイプの遺伝子を持つ人はネガティブなものに反応しやすいと言われています。
短いタイプの遺伝子を持つ人は、自動的に悲観的になり、うつになりやすい、と言われてきました。
調査研究
本当にそうなのか?
セロトニン運搬遺伝子とうつの関係について、ある大がかりな実験研究が行われました。
3歳の子ども数百人を集め、23年間追跡調査したのです。
遺伝子も検証し、毎年多くのテストを行い、ライフスタイルにつても調べました。
すると、遺伝子の長い短いだけでは、うつの発症リスクには有意差はなかったのです。
ただし。
短いタイプの遺伝子を持ち、深刻でネガティブな出来事(両親が離婚する、など)を3つ以上経験した人は、うつの発症リスクは大幅に高くなるという結果が出ました。
また、同じ状況であっても、長いタイプの遺伝子を持つ人は、リスクは高くならなかったのです。
このことから、うつになりやすい傾向(悲観的な脳)には、遺伝子と環境が相互に影響し合っていることが確認されました。
リスク遺伝子は本当にリスクか
ここで、「うつのリスク遺伝子は、本当にリスクなのか?」という話題になりました。
実は、リスク遺伝子は、柔軟性遺伝子というだけなのではないか、というのです。
柔軟性遺伝子とは、「よくも悪くなる遺伝子」ということです。
リスク遺伝子のあるひとは、良い環境では、より良い状態になる、というのです。
子どもの幸福度の観察研究について触れられました。
養育環境の良し悪しと、リスク遺伝子についての研究です。
短いタイプの遺伝子を持つ子でも、良い環境で育った子は、悲観的にならず、より幸福度が高かった、というのです。
このことから、リスク遺伝子は、リスクなのではなく、環境に対してより敏感に反応する遺伝子なのではないか?とのことでした。
そのため、短いタイプの遺伝子を持つ人は、比較的自分を変えやすい、というのです。
悲観脳の変え方
では、悲観的な人は、どうすれば自分を変えられるのか?
それは、注意バイアスを利用するのです。
(注意バイアスに関しては、第一回目の感想記事をご覧ください)
楽観的になりたいなら、ポジティブなことに注意を向けるよう、脳にクセをつけるのです。
遺伝子の短いタイプの人は、注意バイアスの訓練の結果が出やすいそうです。
また、「自分には、必ず支えてくれる人が、一人はいる」という状況が、楽観主義には必要なのだそうです。
困難な状況にある子供たち(虐待されている子など)にも、親でなくてもいいから、人生の中でたった一人でいい、信頼できる大人がいることがとても重要なことだそうです。
思考回路は変えられる
脳の思考回路は、シフトできる。
自分をどう変えられるか、ということを考えるには、自分の「注意バイアス」について知ることが大事だそうです。
ここで、脳の回路を変えられるという事実を裏付ける話がありました。
かの有名な、レオナルド・ディカプリオ氏の話でした。
彼は、重度の強迫性障害の人の役をするため、精神科病棟で強迫性障害の人と一緒に生活するなどして、役に入り込みました。
そして、とてもリアルな演技をしたとのこと。
ところが、彼自身も、強迫性障害を発症してしまったのです。
「強迫性障害の患者を演じる」ことで、脳を「強迫性障害の脳」に訓練してしまったのです。
治療には、その逆の方法を使ったとのこと。
「強迫性障害などない人間を演じる」。
そうやって、脳の思考回路を元に戻し、完治した、とのこと。
このことからも、脳の回路は自分の意識で変えることができるということが、分かります。
楽しむことを怠らない
自分を楽観的にするために。
まずは、「なにに幸せを感じるか」を考えましょう、ということでした。
落ち込んだ時に、元気を出す方法を見つけることが大事。
音楽を聞くとか。
チョコを食べるとか。
ちょっとした幸福感でいいようです。
それを積み重ねていくことが、大事。
「私たちは、無意識に楽しむことを怠っている」と。
毎日少しずつ、長期的にメンタルを訓練していけば、脳は必ず変化する。
物理的構造を変えることができるそうです。
楽観脳⇔悲観脳のシフトは、可能なのです。
ただ、いつも楽観的でいなければならないわけではありません。
悲観的で困っている、変わりたい、と望むのなら、変わるべきで。
自分が悲観的だと知るだけでいい、という場合は、変わる必要はないそうです。
どのくらい楽観的にシフトするかは、自分次第。
自分のちょうど良いと思うところに、自分を持っていけばいい、とのこと。
変わろうとする気持ち
番組は、以上のような内容でした。
私でも、変われる。
変わろうとする気持ちと、変わる方法を知っていれば、変われる。
そういえば、以前、歯医者の先生に、寝る前でいいから、横になって、身体の力を抜いて、深呼吸を繰り返してみろ、と言われたことがあります。
自律神経が整うそうです。
ヨガの呼吸法なのですが。
4秒かけて、はなから息を吸って。
4秒以上かけて、口から息を吐く。
それを繰り返す。
そうすると、だんだんと身体から力が抜けていき。
頭は真っ白になります。
とてもリラックスした状態になります。
とりあえず、これを思い出したので、毎日やってみようと思います。
もうすこしイライラや、落ち込みがましになることを願って。
そして、悪いことに目を向けるのではなく。
小さなことでいい、良いことを沢山見つけて、脳のクセを改善していこうと思います。