自閉症スペクトラム障害と病気
自閉症スペクトラム障害と病気や体質
自閉症スペクトラム障害を抱えている人は、合併しやすい病気があります。
てんかん
一番有名なのは、てんかんです。
てんかんの有病率が、健常者に比べて多いと言われています。
特に、知的障害を伴う自閉症の場合、顕著に有病率が高くなる、と言われています。
自閉症自体が、脳の機能の何らかの異常が原因で引き起こされると言われていますから、不思議ではないでしょう。
てんかんとは、脳の神経が異常に興奮し、けいれんしたり、硬直したり、意識を失ったりする病気のことです。
意識を失い、バタンと倒れ、激しいけいれんを起こすものがてんかん発作だと思われていますが。
実は、数秒から数十秒、長くても数分間、ぼんやりしているようにしか見えないような発作もあります。
また、目的を持った行動をしているように見える意識障害が起こるてんかん発作もあります。
そのような場合、一見てんかん発作に見えないため、周囲も気付かずにいることもあります。
3歳までに発症することが多く、その次に多いのが18歳頃までの発症です。
発達障害の人の場合、思春期にはじめててんかん発作が起こることも多いと言われています。
てんかん発作は、放置しているとどんどん神経が損傷し、悪化します。
ですので、できるだけ早い治療が必要です。
てんかん発作のほとんどは、薬で治療が可能です。
薬で治療ができない場合もありますが、それでも何とか生きています。
私自身、薬剤過敏のために薬が飲めなくて、治療が不可能なのです。
薬剤過敏
「薬剤過敏」も、自閉症スペクトラム障害の人に多い体質です。
薬剤過敏とは、通常の服用量でも薬が効きすぎる体質です。
薬が効きすぎるため、眠気の出る薬では爆睡して起きなくなってしまったりして、生活に支障が出ます。
また、副作用が通常より出やすかったり、強く出てしまったりします。
そのため、薬が飲めません。
私の場合、極度を越えた薬剤過敏で、漢方薬も飲めません。
妊婦さんでも飲める、一番ゆるい漢方薬で何とか飲める程度。
一番ゆるい安定剤でも、一度に飲む量は1/6錠を越えると爆睡してしまいます。
逆に、薬剤に対して鈍感で、全く薬が効かない、という場合もあります。
アレルギー疾患
また、自閉症スペクトラム障害の人は、アレルギー疾患の保有率も高いと言われています。
喘息や食物アレルギー、じんましん、アトピーなど。
私も、喘息と食物アレルギー、じんましんがあります。
こうしたことから、自閉症とアレルギーの関係についても、研究がおこなわれています。
睡眠障害
ほかに、睡眠障害の合併率が高いと言われています。
早い場合、赤ちゃんの頃から睡眠障害の兆候がある場合もあるようです。
新生児の時期を過ぎると、赤ちゃんはだんだんと睡眠のリズムが整って、大人のリズムに近づいていきます。
しかし、睡眠障害があると、いつまでたっても睡眠のリズムが新生児のまま…ということもあるのです。
少し大きくなっても、夜寝ない、朝起きられないなど、睡眠リズムの異常が見られることがあります。
私の周囲でも、自閉症スペクトラム障害の人で、眠ることにに関する悩みを抱えている人が沢山います。
私自身、眠りが浅く、日中の興奮状態が夜まで響き、毎日眠れないでいました。
ぐっすり眠ることが出来ないのです。
そのため、メンタルクリニックで睡眠薬代わりの安定剤を処方してもらっています。
薬の力を借りて、今は多少、睡眠がまともになっています。
薬を飲んで眠るのはどうかという意見もあるかもしれませんが。
眠りの質は、日中の活動量に影響を及ぼします。
薬できちんと眠り、日中に活動できるようになるようにすることは、生きていくための工夫であると考えています。
二次障害
合併症とは少し違いますが、二次障害の発生にも気を付けなければなりません。
二次障害とは、一次障害(自閉症スペクトラム障害)によって引き起こされる障害です。
内容は、多岐にわたります。
人格障害であったり、うつ病であったり、双極性障害などの気分障害、統合失調症、不安障害…。
その他、様々な精神疾患が引き起こされる可能性があります。
それは、一次障害によって、人間関係がうまくいかなかったり、生きていくうえで大きなストレスを抱えていることによるものです。
また、幼いころから失敗を繰り返し、叱られ、自己肯定感が下がってしまっていることも原因です。
「自分はダメな人間だ」
そう思うことが、二次障害の引き金になると言われています。
少しでも、生きやすくするために
自閉症スペクトラム障害だけでも、充分生きにくいのに。
その上に、いろいろな病気や障害が乗っかってきてしまう。
そうすると、余計に生きにくくなってしまいます。
治療できるものは治療し。
治療できないものは、工夫で乗り越え。
上手く付き合っていくしかないのかもしれません。
しかし、二次障害など、防げるものは防ぐ努力も必要です。
それには、本人の努力はもちろん、周囲の協力が欠かせません。
どうか、ご協力よろしくお願いします。