DSM-5における自閉症スペクトラム障害の定義
DSMという診断基準
DSMとは、アメリカ精神医学会が定めた、精神疾患の診断基準です。
世界中でこれをもとに、精神疾患の診断が行われています。
(診断書では、ICDという国際的な基準が用いられます)
DSM-5が発表されたときに、話題になりました。
なぜなら、自閉症関連の障害の項目が、大きく変わったからです。
DSMーⅣ
十数年使われていたDSM-Ⅳでは以下のような分類になっていました。
広汎性発達障害
・自閉性障害(自閉症)
・小児期崩壊性障害
・レット障害
・アスペルガー障害
・特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)
ここでは、広汎性発達障害というカテゴリがあり、そのサブカテゴリに様々な自閉症とその周辺の障害が含まれています。
しかし、これらはDSM-5において、「自閉症スペクトラム障害」あるいは「自閉スペクトラム症」に統一されることになりました。
また、レット障害はX染色体の異常で引き起こされることから、自閉症スペクトラム障害から除外され。
小児期崩壊性障害も、折れ線型自閉症と区別する意義が見いだせないとのことから、自閉症スペクトラム障害に吸収されました。
DSMー5でどう変わったか
どうしてDSM-5の発表が、話題になったのかというと。
診断基準が、より厳密になったためです。
DSM-Ⅳでは、
・コミュニケーションの障害
・社会性の障害
・常同性
社会性の障害と常同性に関しては、どちらかひとつの症状があるだけで、広汎性発達障害との診断が可能でした。
しかし、 DSM-5では「自閉症スペクトラム障害」としたため、あくまで自閉症の3つ組の症状がそろっている必要があり、「社会性の障害」も「常同性」も同時に満たすことが求められるようになりました。
そうすると、DSM-Ⅳでは広汎性発達障害と診断されていたのに、DSM-5では診断からもれる人たちが出てきてしまいます。
それは、「特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)」に属する人たちです。
ここに属する人たちは、自閉度が薄いため、DSM-5の基準に当てはまらない可能性が出てきてしまったのです。
また、大人になるにつれて常同性が消えてしまった場合も、診断から漏れてしまう恐れがあります。
そのため、そういった人たちには「社会コミュニケーション障害」という新たな枠が作られました。
診断されたいかどうかは別として…。
(※ただし、すでにDSM-Ⅳで診断を受けている人は、診断名をはく奪されることはないそうです。)
そんなこんなで、一時期、ずいぶん話題になりました。
大人になってからの診断もあり得ると明記
DSM-5では、自閉症の症状が現れる時期は、発達早期であるけれども、それが明らかになるのは青年期である場合もある、ということが明記されています。
幼少期から症状が続いていた場合、大人になってからの診断もあり得ることが、記されたのです。
それは、一歩前進した部分ではないでしょうか。
感覚過敏について
また、DSM-5では感覚過敏に関する診断項目も追加されています。
これは、当事者としては、非常に前進した感じを受けます。
DSM-5の診断基準については、ネットで検索をすると出てきます。
気になる方は、一度調べてみてください。
因みに…。
DSM-5にいう「常同性」には、エコラリアや過集中などが含まれるようです。
ですので、私の場合、DSM-5になっても、診断は変わらない、ということです(^▽^;)