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自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

発達障害○×クイズ (世界自閉症啓発デー&発達障害啓発週間に寄せて)

4月2日。

今日は、世界自閉症啓発デーです。

同時に、今週は発達障害啓発週間でもあります。

突然ですが、今年の企画として、発達障害に関する○×クイズを行いたいと思います!

 

○×クイズ

【問】

次の文章に対し、正しいか間違っているかを、○×答えてください。

発達障害とは、しつけができていないだけである

発達障害は、怠けているだけだ

発達障害は性格が悪いだけだ

発達障害は、みんな同じ症状である

発達障害は、治る(薬で治る)

発達障害は、発達しない

発達障害とは、自閉症のことである

自閉症とは、引きこもりのことである

自閉症とは、オタクのことである

自閉症の人は、知的障害だ

自閉症の人はしゃべらない

自閉症の人は、コミュニケーションだけが問題だ

発達障害とは、突然なるものである

・話せているなら自閉症ではない

発達障害は、知能検査でわかる

発達障害者と健常者は、きっちり分けられる

発達障害の人は、必ず突出した才能がある

自閉症の人は想像力が欠けている

発達障害者と健常者は、まったく別だ

 

 

答え合わせの前に、ご存知の方も多いかもしれませんが、改めて自己紹介を。

私は、26歳の時に高機能広汎性発達障害と診断されました。

いわゆる、アスペルガー症候群です。

二次障害のうつ病も発症しています。

そして、その後ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断も出ました。

他に、てんかん(もしくはほかの神経疾患)も合併しています。

 

さて、では答え合わせをしてみましょう。

答えは、すべて×です。

20問中いくつ正解できましたか?

5問以下…以下、いっしょに勉強していきましょう!

10問以下…少し知識をお持ちのようです。視野を広げるため、一緒に勉強しましょう!

15問以下…なかなか勉強されていますね!知らなかったことを、知っていただけたらと思います。

16問以上…かなり勉強されていますね!知らなかったことは、情報を更新していただけたら、と思います。

全問正解…相当勉強されているようですね、ありがとうございます。正しい知識を広めることにご協力いただければと思います。

 

問題には、世間で勘違いされていることを上げてみました。

それでは、順番に解説していきましょう。

(あくまで私自身の解釈である部分もあります。)

 

発達障害とは、しつけができていないだけである

発達障害は、怠けているだけだ

発達障害は性格が悪いだけだ

発達障害は、みんな同じ症状である

発達障害とは、自閉症のことである

これらは、よく勘違いされている事柄です。

 

発達障害は、生まれつきの脳機能障害です。

生まれつき、脳の機能が多数派さんとは異なるため、うまくコミュニケーションが取れなかったり、「常識とされる行動」をとりにくかったりします。また、できることとできないことの差が激しく、できるのにやらないだけだと勘違いされ、責められてしまうこともあります。

あくまで「障害」であり、治ることはありません。

また、発達障害とひとくくりにされている中には、以下の障害が含まれています。

 

自閉スペクトラム症

・コミュニケーションの質的障害

・社会性の障害

・イマジネーションの障害

・感覚過敏

これらを特徴とする障害です。

 

★注意欠如・多動性障害(ADHD

・多動性

・衝動性

・不注意

これらを特徴とする障害です。どの症状が強く出るか、症状の組み合わせなどは人によります。

 

★発達性協調運動障害

極端に不器用な状態で、手先が不器用だったり、全身の大きな運動が苦手だったりします。

 

★LD(書字障害、読字障害、算数障害など)

知能は正常ですが、特定の能力のみ極端に低い状態です。

 

★トゥレット症候群

運動チック・音声チックが長く続く障害です。これも発達障害に含まれています。

 

これらの障害を複数合併することもあります。

 

※注

自閉スペクトラムという考え方

現在は、このように呼ばれるのが主流となっています。ここには、かつて「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」「広汎性発達障害」「高機能広汎性発達障害」「特定不能の広汎性発達障害」などと呼ばれていた障害が入っています。

詳しくは、このブログの自閉症とは?という項目をご覧ください。

 

自閉症には、重度の自閉症から軽度の自閉症まであり、それらは健常者にまでつながる「自閉スペクトラム」という連続体であると考えられています。

自閉症の濃度≫

ちょうど、真水に墨を落としたように、自閉の濃度が変わるといわれています。

重度自閉症←--------------中度-------------軽度------------→健常者

      黒←---------------------------------------------→真水  

      ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 

というような状態になっています。 

ただし、自閉症の特性というのは、多かれ少なかれ健常者と呼ばれる人にも存在するといわれいます。

完全な「真水」である人は、いないでしょう。

墨の濃度が濃く、日常生活や社会生活において障害となっている場合に、「自閉スペクトラム症」と診断されます。

 

 

発達障害は、治る(薬で治る)

発達障害は治る!」という広告などを目にしますが、残念ながら、今のところ、発達障害は治せません。

ADHDには脳の働きを調整する薬がありますが、生まれつきの脳の仕組みを改善するものではなく、行動をコントロールしやすくするためのものです。

 

発達障害は、発達しない

これも、間違いです。

発達障害でも、個々のペースで発達します。

発達障害は、すべての能力が平均的にバランスよく発達しない、という意味です。

つまり、発達の早い部分や遅い部分があり、全体的にアンバランスな発達の仕方をします。

発達障害は発達しない障害ではなく、発達の仕方が多数派とは違い個性的だ、ということです。

 

自閉症とは、引きこもりのことである

自閉症とは、オタクのことである

自閉症は引きこもりのことでも、オタクのことでもありません。

先に書いたように、生まれつき脳の機能が多数派さんとは違うことによって起こります。

ただし、発達障害の人は周囲に理解されにくく、叱られ続けた結果、鬱病などの二次障害を引き起こし、結果引きこもりとなってしまうことがあります。

ですが、引きこもり=発達障害ではありません。

自閉症」という名称の為に、自分の殻に閉じこもると思われがちですが、そうではありません。

また、自閉症の場合、「こだわり」という症状があり、好きなことにとことん熱中することがあります。

それが「オタク」と思われてしまう原因となりますが、決してオタク=自閉症ではありません。

 

 

自閉症の人は、知的障害だ

自閉症発達障害の人は、必ずしも知的障害があるわけではありません。

そもそも、知的障害と自閉症とは、まったく別の障害である、と考えられています。合併することは多々ありますが、知的障害と自閉症はイコールではありません。

知能の分布は、多数派さんと同じであると考えられています。

ですから、自閉症の人の中には、重度の知的障害の人もいれば、軽度の知的障害の人もいますし、平均知能の人もいますし、高知能の人もいます。

 

自閉症の人はしゃべらない

自閉症の人は、コミュニケーションだけが問題だ

・話せているなら自閉症ではない

自閉症の人はしゃべらないとか、話せているんだから問題ないとか言われることがありますが、そうではありません。

コミュニケーションとは、言葉を発することではありません。

相手との意思疎通、つまり、自分の意思を相手に伝え、相手の意思を受け取る、言葉のキャッチボールがコミュニケーションです。

自閉症の人でも、ある程度しゃべれる人もいますし、流ちょうにしゃべる人もいます。お話が大好きな人もいます。

しかし、話が一方的であったり、相手に口を挟ませないなど、キャッチボールではなくドッジボールのような方法でコミュニケーションを取ろうとしてしまうということがあります。

それがコミュニケーションの「質的問題」であり、話せているから自閉症ではない、ということにはなりません。

 

また、発達障害の人は刺激に敏感であるために、多数派さんよりもとても疲れやすかったり、感覚が鈍いために痛みを感じにくかったり、自分の体なのに存在がわかりにくかったりします。

体温調節が苦手で夏は発熱状態になったり、冬はひえきってしまうなど、自律神経系の困ったこともたくさんあります。

一般的に知られているのは「コミュニケーション」「社会性」「イマジネーション」の障害ですが、それ以外にも身体症状などたくさんの問題を抱えています。

 

発達障害とは、突然なるものである

先にも書いたように、発達障害は生まれつきの脳機能の障害ですから、突然発症するわけではありません。

ただし、症状が軽かったり、たまたま周囲の環境が本人に合っていた場合、発見が遅れることがあります。

大人になってから発覚する場合もあります。

そのため、診断をする医師は、幼少期からのエピソードを聞き取り、診断をします。

もし、突然発達障害のような症状が現れた場合、ほかの疾患の可能性があります。

 

発達障害は、知能検査でわかる

これも大きな間違いです。

よく、知能検査の結果で発達障害と診断されたとか、されなかったという人がいますが、発達障害の診断に知能検査は必要ありません。

あくまで、診断の参考として補助的に使われるものです。

診断の要件にも、知能検査とは書かれていません。

 

発達障害者と健常者は、きっちり分けられる

発達障害者と健常者は、まったく別だ

 

先に書いた自閉症の濃度の図と同じように、発達障害者と健常者は一つながりの存在であり、「ここからは発達障害」「ここからは健常者」と分けられるものではありません。

 

発達障害の人は、必ず突出した才能がある

これも、大きな誤解です。

テレビ等で「発達障害の天才」として、ピアニストや画家が取り上げられることがありますが、それはごく一握りの人たちです。

多くの発達障害の人は、特異な才能など持ち合わせていません。

天才の出現率は、発達障害者も健常者も同じであるといわれています。

 

自閉症の人は想像力が欠けている

自閉症の人はイマジネーションの障害があるといわれるため、想像力がないように思われています。

しかし、当事者の私からしてみれば、それは逆だと考えています。

想像力が欠けているから、こだわりが発生するのではなく、想像力がたくましすぎて、これから先にどんなことが起こるのか、いろんなパターンの想像をしてしまい、不安になって手順などにこだわるのではないかと思っています。

実際に、空想が大好きな自閉症の人もたくさんいます。

イメージができないのではなく、イメージが暴走してしまう、と言う方が適切なように思います。

 

さいごに

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

発達障害について、少し知っていただくことができたでしょうか。

発達障害について学ぶことは、健常者を含めどの人も生きやすくなるための第一歩だと考えています。

 

発達障害の人は、その特性の為に、多数派さんが「当たり前」と考えていることが分かりにくく、コミュニケーションにおける「前提」が違っているために、人との関係がうまくいきません。

相手の感情を読み取ることが苦手なため、相手の感情を逆なでしてしまうこともあります。

逆に、自分の感情も理解しにくく、嫌なことがあってもその場で嫌だと伝えることができず、時間が経過してからパニックを起こすこともあります。

 

自分の体調もわかりにくいため、疲れやすいのに疲れたことがわからない、という矛盾も起きてしまいます。

そのため、すぐにぐったりしたり、動き回りすぎて気づいたら電池切れ…なんていうこともしばしばです。

 

今回は、「世界自閉症啓発デー」「発達障害啓発週間」ということで、一番勘違いされていること、一番知っていただきたいことを、簡単に取り上げました。

興味を持っていただけましたら、ほかの記事にも目を通していただけると嬉しく思います。

 

なお、この記事に書いた特性を持っているからといって、必ず発達障害と診断されるわけではありません

逆に、これらの特性がそろっていないからと言って、発達障害ではないというわけではありません。

発達障害は、医師にしか診断できませんし、医師でも診断が難しいことを、ご理解いただきたく思います。