障害者歯科に行くようになったきっかけ
私は、普段は一般の歯科に通っています。
ですが、時々障害者歯科でお世話になることがあります。
そこで、私がお世話になっている施設はどういうものなのか。
どうしてそこにお世話になることになったのか。
ということを、ご説明しようと思います。
障害者歯科にかかるまで
私は、はじめは一般開業医の歯医者さんに通っていました。
小さいころは大阪に住んでいて、近所のK歯科というところに通っていました。
そこも小児歯科をやっていて、お母さんにくっついてきた子供を、治療いすの横に子供用の椅子を置き、座らせて見学させてくれる歯医者さんでした。
3歳ころかな。
母親が治療している横で、おもちゃを持って、幼児用の椅子に座って、おとなしくしていたことを覚えています。
そのまま、私もフッ素を塗ってもらったり。
歯が抜け変わるときに、乳歯がなかなか抜けず、診てもらったり。
虫歯の治療をしたこともありました。
ところがある日、治療中に舌を動かしてしまい、ドリルに当たって舌をけがし、口の中が血まみれになってしまいました。
今から思うと、それが恐怖の始まりだったのではないかと…。
あと、一度だけ型を取ったことがあるのですが。
気持ち悪すぎて、「もう二度とするもんか!」と思った記憶があります。
その後、11歳の時に和歌山に引っ越しました。
そのころから、今のN歯科にお世話になっています。
もう、19年のお付き合いです。
私がはじめてN歯科に行ったとき、歯科恐怖はなかったのですが、口の中にミラーを入れた時点でえずいて(えずく:関西弁で、「おえっ」となることです。「嘔吐く」と書きます)しまいました。
その時に、N先生は母親を呼び、「この子はえずいてしまうから、虫歯はあるけれど、無理な治療はしない」と言いました。
そして、先生は私に、「無理やり治療はしない。嫌なこともしない。その代わり、ちゃんと歯を磨くこと」と約束させました。
私は、虫歯を治さなくていいならと、できる範囲で一生懸命歯を磨きました。
毎年、学校の歯科検診で虫歯を指摘されましたが、先生が「治療完了」の紙を書いてくれて、経過観察のまま過ごしていました。
学校の歯科検診も嫌でたまらなくて(口の中にミラーを入れるとえずいてしまうため)、朝から気分が悪く、学校を休みたくて仕方がありませんでした。
そのころが一番、吐き気がひどかったように思います。
おそらく、学校に行くというストレスも関係していたのだと思います。
また、ミラーが口に入るたびにえずいてしまうため、治療どころか、歯科検診も恐怖になり始めていました。
高校を卒業するまで、ずっとその状態で過ごしていました。
その間、N先生は無理やり歯を治療することはありませんでした。
私は京都の大学に進学。
N先生は「なんかあったら、診てあげるから、帰ってこい。どうせ、ほかの歯医者さんにはいかれへんやろ?京都ならすぐ帰ってこれるやろ?」と言ってくれました。
大学生活を送った4年の間に、親知らずが生え、あちこち痛みもありましたが、痛みを耐えていました。
就職し、仕事が合わず鬱になり、2か月で退職。
時間ができたので、痛くてたまらない上に、何度も欠けてしまう親知らずを治療するため、4年ぶりにN歯科に行きました。
N先生は「お、久しぶり!」と言って、迎え入れてくれました。
その時、親知らずは虫歯でボロボロ。
私は、器具を口の奥まで入れることができない上に、歯より内側(舌側)は前歯でも触れないため、通常ならありえない方法で親知らずを抜いてもらいました。
上の親知らずだったので、何とかなるだろうとのことで、ピンセットと、ほかに使える器具だけで、無理やり抜いたのです。
抜く途中、歯が割れてしまいました。
もう少し我慢していたら、とても抜くことができなくなっていたそうです(;´・ω・)
右上の親知らずと、左上の親知らずを抜いて。
そのあとも、いくつか虫歯を治してもらいました。
その時は、笑気麻酔という、気分をリラックスさせるガスを吸いながら、治療をしてもらいました。
しかし、笑気麻酔で多少緊張がほぐれるものの、どうしても治療中にえずいたり、苦しさのあまりパニックになり動いてしまうので、先生も治療のたびに格闘してくれていました。
笑気麻酔以外にも、ツボを刺激する方法や、緊張をほぐす方法など、いろんな方法を試してもらいましたが、どれも効果がありませんでした。
そして、ついに左下の奥の歯が欠けるという、とんでもないことが起こってしまいます…。
(次回に続く)