一見普通
発達障害を抱えている人の中でも、知能に問題がない場合や、比較的障害の症状が見えにくい場合、「普通に見える」ことがあります。
障害を抱えていることをカミングアウトすると、「普通に見える」と言われることも多々あります。
「普通に見える」ことがいいのか悪いのか。
黙って立っていれば、健常者と変わりがなく見えますし、その場合は差別を受けることはないかもしれません。
また、仕事などでも「ちゃんとできるじゃない」とよい評価をもらえるかもしれません。
多大な努力
しかし、発達障害を抱える人が「普通に見える」ことの裏には、多大な努力が隠れています。
「普通の人」に見せるために、社会に適応するために、「普通はどう行動するのか」ということを常に考えて生きているのです。
それは、例えるならば、宇宙人が必死に地球人のふりをして生きている状態です。
宇宙から来て、地球上のよくわからないルールを何とか理解しようと頑張って。
地球語を頑張って習得して、何とか聞き取れるようになって、話せるようになって。
言ってはいけないことを学んで、空気を読むということを学んで。
無理やり身に着けて、一生懸命に地球人らしく振舞っているのです。
この努力は、生きる上では余計なエネルギー消費となります。
多数派さんは、そういったことが自動でできるようになっているので、あまりエネルギーを消費していないようです。
しかし、少数派さんは、それらを手動で行っています。
多数派さん向けに作られたこの社会で生き残るために、莫大なエネルギーを消費して生きています。
ですから、生きているだけで、とんでもないエネルギーを使ってしまっているのです。
地球には、引力があります。
宇宙人の体は、その引力に逆らえるようにできていません。
ですから、地面に立っているだけでも、座っているだけでも、非常に力を使います。
引力に負けてしまって、地面に転がってしまうこともしばしばです。
マニュアル操作
多数派さんが生きる上で、「当たり前」すぎて考えたこともないようなことを、少数派はいちいち考えて、習得していかねばなりません。
多数派さんから見れば、「そんなこといちいち説明しなくてもわかるだろう」ということが、一つずつ説明してもらって、納得していかなければならないのです。
普通ってなんだ?
「普通にみえる」と、そうしたハンデを抱えていることが、外からはわかりづらいのです。
ですから、「普通に見える」ということは、「普通である」ことを求められてしまう、ということでもあります。
宇宙人はしょせん宇宙人、どんなに頑張っても、地球人になることはできません。
地球人のふりをして生きることはできても、宇宙人である本体を変えることはできないのです。
本体を変えてしまうには、本体を壊してしまうしかありません。
宇宙人である本体が壊れてしまったら、どうなりますか?
地球人のふりをしていた外側の部分も、壊れてしまいますね。
それが、いわゆる「二次障害」と言われるものです。
「普通って何だろう?」
考えてみてください。
普通の定義って、何ですか?
多数派さんの中でも、定義は様々に分かれるはずです。
普通なんていうものは、ただの平均値でしかありません。
それぞれの文化を尊重して共生する
普通に縛られて生きるのは、辛くないですか?
少数派に属する私は、そう思います。
普通でなくてもいい。
私自身が、できるだけ楽に、楽しく生きていきたい。
無理に地球人のふりをするのではなく。
地球人と仲良く共生していきたい。
ただ、それだけです。
地球人には地球人の、宇宙人には宇宙人のいいところがある。
多数派には多数派の、少数派には少数派の、文化がある。
それぞれのいいところ、文化を尊重しつつ、共生していけばいいではありませんか。
私は、そう思います。