kaleidoscope

自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

笑顔の練習

笑顔が作れない

私は、ずっと写真が苦手でした。

なぜかと言うと、「笑顔」が作れないからです。

普段、リラックスしているときは、普通に笑顔が出ていると思います。

しかし、少しでも緊張すると、笑顔が引きつる。

そのことに気づいたのは、大学生の頃でした。

 

写真を撮るときは、笑顔を作るものだということに気づく前は、ずっと、普段の表情で写真におさまっていました。

だから、写真に写る自分は、いつも無表情でした。

 

写真を撮ると、周りの人は笑顔で写っていることに気づいてからは、私も、笑顔を作るようになりました。

しかし、どうしても、笑顔で写っている写真を撮ることは出来ませんでした。

 

写真を撮るとき、自分では笑顔を作っているつもりでした。

でも、出来上がった写真を見ると、顔が引きつっている。

顔が、こわばっているんです

怒っているようにしか、見えないんです。

 

毎年、部活のコンクールの本番が終わったら、必ず部全体と、パートごとに写真を撮ることになっていました。

その写真の中で、私だけ表情が固い。

それが嫌で、笑顔を作る練習をしました。

 

どうすればうまく笑顔を作れるのか?

鏡にうつる自分を見るのは、苦手なのですが。

鏡の前に立ち。

テレビでやっていた、自然な笑顔で写る方法をためし。

がんばって、笑顔の練習をしました。

そのころには、就職活動も控えていましたから、必死で笑顔を作る練習をしました。

 

しかし、どう頑張っても、口だけは何とか笑っている形を作ることができるものの。

目が笑っていない。

ものすごく怖い笑顔にしかなりませんでした。

 

それから数年。

新卒で入社した会社を退職し。

次に入った職場では、なんだかんだと、写真を撮る機会が増えました。

写真好きのメンバーがいたからです。

 

そこで私は、またもや「笑顔の写真が撮れない」ことに悩むことになります。

楽しいのに、楽しい顔にならない。

みんなは楽しい顔で写っているのに、私だけはひきつった顔になる。

 

そこで私は、焼き増ししてもらった写真をじっくり見てみました。

自分の表情と、みんなの表情の何が違うのか?

 

じーっと見比べました。

自然な笑顔をしているみんなの顔を見て。

自分の顔を見て。

気づきました。

私の笑顔は、目がおかしいのだ、と。

 

みんなは、自然な笑顔なので、目は三日月型で、目じりが下がっています。

私は、無理に作った笑顔なので、目は普段の形で、目じりが下がっていないのです。

目が笑っていない。

鋭い目のまま、口だけが笑った形になっている。

なるほど、目の表情に問題があったのか、と納得しました。

 

それからは、とにかく目の形を意識して、写真に写るようになりました。

それで、今のところは、なんとか見られる笑顔で写ることができています。

まだ、不自然な感じは残っていますが…。


意識して学ばないと表情が作れない

自閉症スペクトラムの人は、「表情がない」とか、「笑顔がない」と言われます。

酷い場合は、「怒っている」と勘違いされることもあります。

それは多分、意識して表情筋を動かさないと、自動的に表情を作ることができないからではないか、と思うのです。

 

現に、「ここは笑顔でいなきゃ」と思うと、すごく顔の筋肉が疲れます。

下手をすると、筋肉痛になります。

 

ずっと、どうしてみんなは綺麗に笑うことができるのか、不思議でなりませんでした。

しかし、自分が自閉症スペクトラムと診断されて。

何かにつけて、自動では動かない身体のつくりになっていることを理解して。

やっと、謎が解けました。

 

自然に笑うことが、いかに困難なことなのか。

分かってもらうのは、なかなか難しいでしょう。

 

だから、無愛想だとか、能面のようで気持ち悪いとか、あんまり言わないでほしいな~、と思います。

自然体でいるだけなので(笑)