kaleidoscope

自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

自閉症児への教育(テンプル・グランディン博士のスピーチ)

自閉症に関するスピーチ

以前、NHKの「スーパープレゼンテーション」という番組で、テンプル・グランディン博士のプレゼンテーションが放送されていました。

 

私は時々、この番組を見ています。

いろんな人が、それぞれの立場で、いろいろな事柄に関するプレゼンテーションを行う番組で、内容はもちろん、話し方など、いろいろと勉強になります。

 

テンプル・グランディン博士

 その番組で、その時の放送はたまたま、「自閉症」に関するもので、スピーチをするのが、かの有名な自閉症の動物学者、テンプル・グランディン博士でした。


彼女は、幼いころ自閉症と診断され、一生話すことは出来ないだろうと言われていました。

しかし、母親が熱心で、彼女に様々な療育を受けさせ。

彼女の周りには、素晴らしい支援者もいて。

彼女自身の必死の努力で、話せるようになりました。

そして、自分が一番身近に感じていた牛の研究で、世界的に有名な動物学者となりました。

 

彼女は著書などで、「自閉症とは、人間と動物の間の駅のようなもの」という表現をしています。

自閉症の人は、人間よりも動物に近い感覚を持っている、と言います。

その意見が、今回のプレゼンテーションにも反映されていました。

 

プレゼンの内容

プレゼンテーションの内容を要約すると、以下のような内容でした。

※【 】内は私が考えたことです。

 

「テーマ」

 世の中にはいろんなタイプの頭脳が必要だ

自閉症スペクトラムの話。

 自閉症か、単なるオタクなのか?その分類は難しい。アインシュタインモーツァルトも、今ならASD(自閉症スペクトラム)と診断されるだろう。

 

・自閉脳は細部に注目する。多数派は全体を見るが、自閉症の人は全体より細部により注意を払っている。

 

・動物と自閉症について。動物と自閉症の人の脳には、共通点がある。

 

自閉症の人は、絵で考える脳である。視覚思考(ビジュアル・シンキング)で、言葉を聞いた時に、そのものの絵が頭の中に浮かぶ。しかも、その絵は写真のように詳細で鮮明である。それはいわば、インターネットで画像検索をかけるのと似ている。

【私もそうです。逆に、視覚思考でない人は、どうやって物を考えているのか不思議で仕方ありません】

 

・頭のなかで、シミュレーションができる。何かをしようとする時、画像としてそれを思い浮かべ、自由自在に動かすことができる。だから、実験での検証と同じことが、頭の中だけで検証できる。

【これもそう。頭の中で、何パターンものシミュレーションができます。】

 

・自閉っ子の将来が心配…。

 未だに、自閉症の子どもへの教育は、適切でない。

 

・グランディン博士は視覚思考タイプだが、視覚的でない自閉っ子もいる。

 

・グランディン博士の場合は、脳の画像検査で、視覚思考タイプとわかった。

 

自閉症の脳は、得意・不得意がはっきり分かれる。

 例)パターン思考 → 数学・音楽が得意
   言語思考 → 物知り
 など。

 どこかの分野がとんでもなく秀でているかわりに、社会性に障害があったり、コミュニケーションが苦手といったように、得意・不得意が激しい。

メンタルクリニックの先生が言っていました。人間の能力は凸凹があっても、必ず±ゼロになるようにできている。だから、不得意なことが大きければ大きいほど、得意なことは突出してくる、と。】

 

自閉症者は、様々な感覚過敏を持っている。それは、感覚で物を考えるということにもつながる。動物は感覚で考えている。だから、自閉症の脳と動物は、近い。

 

・自閉っ子は分類が得意なことが多い。多数派は分類が苦手で、不具合の場所の発見が遅く、対処が遅い。

【私もそう思います。だから仕事でイライラしたのか…と納得】

 

・世の中にはいろんな頭脳が必要だ。だからあらゆる人をサポートすべきなのに、まだ世間はそうなっていない。なんてクレイジーなの!

 

・普通の脳は言葉を話せる。そのかわりに、言葉が視覚思考を遮る。

 例)ゴッホの有名な渦巻きの絵は、数学的パターンの視覚思考ではないか。

【私も、言葉を上手に操れる多数派さんは、言葉を獲得したことによって、他の大事な能力を失っていると思っています。言葉が他の感覚を邪魔していると感じています】

 

・自閉脳は、今後社会で必要になる。だから、自閉症の子どもたちへの教育をきちんとしなければならない。

 

・自閉っ子に、時間をまもるなどのしつけをしっかりすべき。自分は「しつけ」をしっかりしてもらった。そのおかげで、今社会で認められている。

 しかし、今の自閉っ子は時間が守れなかったり、好きなことしかしなかったりする。

 好きなことだけをしていてはダメ。嫌なことでも、少しずつチャレンジさせるようにする。そうしないと、社会に出られない。

 

・では、自閉症の子供に、どうやって上手に学ばせるか。

 それには、こだわりを利用してやる気を起こさせることが必要。

 車が好きなら、それに関連して計算問題を教えたりする。そうすると、自閉症の子供は自分から学びだす。

 

・思考パターンによって、職業の向き不向きが変わる。

 例)言語思考タイプなら、俳優・女優が向いていたりする

 それは、自閉症者は他人との交流の方法を、芝居感覚で身につけるから。

【他人との交流を芝居感覚で行っている、というのはまさにその通りだと思います。私も、「演技」することで常識的なふるまいをすることを覚えました】

 

自閉症の子が自ら学ぶようにしむけるため、指導者が必要


 ・自閉っ子には分かりやすく具体的な説明が大事

 

・グランディン博士自身、うまく話せず、学校でイジメに遭った。しかし、それ以上に、自分を理解してくれる存在や、支援者がいたから成功できた。

 

自閉症の子どもへのサポートの大切さ



ざっとまとめると、こんな感じでした。

聞いたり見たりしながらメモを取るのが苦手な私が、一生懸命、字幕を見ながらスマホにメモを取ったので、少々ニュアンスが変わってしまっている部分もあるかもしれません。

抜け落ちている部分も沢山あると思います。

 

個々に合った教育を

グランディン博士は、自閉症の子どもへの教育の在り方、関わり方の大切さを、必死に訴えておられました。

自閉症の子どもに合った教育がなされないなんて、どうかしている!と。

(何度も「クレイジー!(狂ってる)」という発言がありました)

 

一生話せないかもしれないと言われた女の子が、世界的に有名な動物学者になれたのは、理解と支援のおかげだった、と。

 

才能ってなんだろう?

グランディン博士は、自閉症者の中でも、たまたま運良く才能を発揮できた、一握りのラッキーな人なのかもしれません。

自閉症者みんながみんな、才能を発揮できるわけではない。

むしろ、才能を発揮できない人の方が多い。

それは確かに、そうかもしれません。

 

でもね。

私、思うんです。

「みんながみんな、才能を持っているわけではない」って主張している人たちって、そもそも何を持って「才能」を定義しているのか?って。

 

才能って、数学ができるとか、音楽ができるとか、それだけが才能じゃないと思うんです。

人と違うものの見方ができる。

それだって、充分「才能」だと思うんです。

それを、周りの大人が自分に都合の良い「才能」でないからといって、「この子には才能がない」って決めつけてる部分も、沢山あるんじゃないかなって。

 

能力で食っていければそれは「才能」で。

食っていけなければ「才能」ではない。

その定義って、ちょっと違うんじゃないかな、って思うんです。

結局、何が「才能」かを決めるのは、本人なんじゃないかな?

 

タダの落書き魔だと思っていた自閉症の子の落書きが、物理学の難しい方程式だった、なんていう話もあります。

親は「無駄なことだからやめさせよう」と思っていたのですが。

専門家にその落書きを見せたら、「素晴らしい!そのまま続けさせなさい!」と言われた、と。

親や、周りの大人が、何の知識もなく「才能」かどうかを決めるのは、違うと思うんです。

 

素晴らしく面白かった

しかし、テンプル・グランディン博士、すごい早口だし、聴衆の反応を待たないし。

自閉症の特性丸出しだなぁって思いました(笑)

なかなか、面白いプレゼンテーションでした!