自閉系の人間は動物に近い?
犬の気持ち
以前、とあるテレビ番組を見ていたときに考えたことです。
色々な質問に対し、あらゆる分野の研究者が回答する、というスタイルの番組でした。
犬の気持ちが分からないという相談に対し、各学会所属メンバーが答えるという内容がありました。
その解説を聞いていて、やっぱり自閉系の人間は、人間の中では、動物寄りの感覚を持っている、ということを、改めて感じました。
似ている?
ある犬の話です。
相手のことを信用してるんだけど、付き合っててもあんまり楽しくないから、呼ばれてもご主人のところへは行かない。
呼ばれても無視する。
でも、その人と一緒にいて楽しいってことが分かれば、呼ばれたら「なぁに?遊んでくれるの?」って、自分からご主人の元に向かう。
ご主人が出かけるときも、「どこいくの?楽しいことするの?ボクも連れてってよ」って寄ってくるようになる。
自閉っ子が呼ばれても振り向かないとか、寄ってこないっていうのに、似てませんか?
私も、相手のことは信用してるんだけど、でもさほど楽しくないなって思ってる時は、誘われても行かないことが結構あります。
行く意味が分からないんですよね。
犬の行動
犬って、自分にとって敵か味方か、はっきりしない相手には、すごく愛想よくするそうです。
自分の味方になってもらうために。
逆に、味方だってはっきりしているときは、愛想を振りまくことをしないそうです。
これ、私と同じ(笑)
だから、見ず知らずの人には、とても愛想を振りまきます。
そして、それにエネルギーを使ってしまって、すごく疲れます。
あと、犬は、ご主人が悲しい思いをしている時よりも、楽しい思いをしているときの表情をじっと見つめる、という実験もしていました。
犬は、ご主人の微妙な表情の変化から、ご主人の機嫌を読み取っているそうです。
そして、機嫌のいいご主人に遊んでもらいたいそうです。
自閉系の人は
自閉っ子は、相手の顔を見ない、表情を読まないと言われます。
でも逆に、相手の表情の微妙な変化や、声色の微妙な変化を敏感に感じ取って、恐怖を感じるとも言われています。
それって、犬みたいに、すごく微妙な変化をキャッチすることができるということではないでしょうか。
だから、相手の機嫌に敏感に反応してしまって、辛いのではないでしょうか。
少し大きな声を出されただけで、簡単にパニックに陥ってしまう。
時間の感覚
犬は、過去の経験を、時間軸でとらえることはない、と言う人もいます。
過去は過去であり、「数年前の経験」も、「昨日の経験」も、遠い近いの感覚はなく、同じ「過去」という認識をしているのではないか、と。
これは、本で読みました。
自閉っ子は、大昔のことも、昨日のことも、同じようにはっきりと覚えている、と言います。
実際に、私もそうです。
昨日のことも、一か月前のことも、何年も前のことも、同じように鮮明に覚えています。
感情
また、自閉っ子の感情の中心は恐怖である、とも言われています。
犬も、基本的にはビビりですよね。
すぐにおびえる。
私も、基本的には何でも怖いです。
それを、一つずつ、「怖くない」という学習の積み上げによって、できることが増えるようになってきました。
動物と人間の間
かの有名な、テンプル・グライディン博士も、「自閉は人間と動物の間の駅のようなものである」とおっしゃっています。
また、太古の人間と自閉系の人間は、共通する点が多いのでは、という人もいます。
進化か、退化か
進化してしまった、多数派の人間にはない能力が、自閉系の人間には残っているのです。
これは、本当は動物としては持ち合わせていなければならない能力。
自然の中で生き残るためには、必要だったはずの能力。
それを失ってしまった多数派を、「進化した」と言っていいのか。
本来は、「退化した」と言うべきではないのか。
時々考えます。
はたして、自閉系の人間は、「進化から取り残された」のでしょうか?