視覚優位
視覚優位という特性
自閉圏の人の特徴として、「視覚でものを考える」ことが多いようです。
視覚優位の人も多いとか。
(※聴覚優位、嗅覚優位などの場合もあるようなので、一概には言えません)
私も、視覚優位です。
実体験
実際に歯医者さんであったことです。
今まで、治療中にパニックになって、手で口を隠したり、暴れてしまうことが何度もありました。
ある日、先生は私に小さな手鏡を持たせてくれました。
そして、その手鏡で治療の様子を見ているように言いました。
そして、先生の実況中継を聞きながら、治療の様子を見て、おとなしく治療を受けることができました。
今まで耐えられなかったことに、「自分が何をされているのか、見て確認する」だけで、できるようになったのです。
視覚で考える
他にも、何かを考えるときは、状況を動画にして考えます。
これから先に起こることを予想するときも、そうです。
まるで自分が出演している映画の一場面を描くように、画像を見ながら考えます。
シミュレーションする感じです。
そして、起こりうる事態を、考えうる限り考え尽くし、最悪の事態に備えます。
周りはこれを杞憂だと言いますが、私にとっては必要なことです。
だって、全てがいい方向に進めばいいですが、突発事項が絶対に発生しないとは言いきれませんから。
そんなときにパニックにならないように、あらかじめすべての事態を想定しておくのです。
最悪の事態を想定しておくのですから、それより軽い事態ならパニックを起こすこともありません。
無駄な労力を使わないための、私なりの策です。
また、視覚で考える例として、こんなのもあります。
私は、数学の図形の問題が得意です。
特に、立体をカットしたり、展開したりする問題が。
それは、頭の中で自由自在に立体を回転させたりカットしたり。
展開図を組み立てたり、立体を展開図に開いたりすることができるからです。
立体を回転させるっていうのは、建築なんかで使う、CADみたいなことが頭の中でできると思ってもらえれば、理解してもらえるかと。
だから、学校で教えてもらった方法は、回りくどくて意味が分かりませんでした。
逆に、みんなは一体どうやって立体の問題を解いているのだろう、と思っていました。
今でも、何か物を作るときも、設計図も書かず、いきなり立体物を作り始めます。
布製のものだと、直接布に展開図の線を引き始めます。
切り取られたその物同士を、どうつなげたらどんな立体になるか、組み立てる前に分かるからです。
会話における視覚優位
会話も、そうです。
私は、話し言葉が苦手です。
聞き取れなくなることもあるし、言われたことを理解して、どう返事するか考えて、実際に言葉にするという作業を、一瞬でしなければならないからです。
でも、文字として書かれた言葉は、目から情報として入ってきます。
周りがうるさくて聞き取れないことはありません。
そして、読む時間を与えられます。
文字は、話し言葉のように、すぐに消えてしまうことはありません。
そして、視覚からの理解は非常に早いので、一瞬で理解します。
残りの時間は、返事に費やすことができます。
文字として返事すれば、自分の言葉が文字としてまた脳にインプットされるので。
失礼がないか、誤解される言葉は使っていないか、推敲してから返事することができます。
話し言葉だと、自分が言っていることをもう一度耳でとらえて、脳で処理するので、また時間ががかります。
そのうち、自分が言っていることが分からなくなったり、言いたいことと違うことが口から出てしまいます。
とにかく、話し言葉は私を後ろから急かし、突き飛ばしてきます。
だから、焦って話している間に、訳が分からなくなってしまいます。
そんな理由で、電話は苦手です。
メールだと、文章も簡潔でありがたいです。
多少失礼なことを言っても許してくれるような相手となら、話し言葉でも大丈夫です。
だから、職場でも上司への相談はすべて、文章で提出していました。
少しでも、誤解のないように。
文章にすると、きちんと物事を説明できるのに、口で言おうとすると伝わるように言うことができない。
文章が書けるのと、口で説明する能力とは、別物のようです。
不思議ですねぇ。