kaleidoscope

自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

聴覚過敏

自閉症と感覚過敏

 

自閉症スペクトラムの人は、一般的な人と感覚が違っていることが、分かってきています。

五感のそのうえ、第六感まであるのでは、という人もいます。

 

私も、感覚過敏があります。

しかも、五感すべてが過敏です。

(一部、痛覚は場所によって過鈍です)


感覚過敏・私の場合

 

私は、耳が聞こえすぎています。

どのくらいかというと。

締め切った2階の部屋でいるときに、3階の洗面所で物が落ちた音が聞こえます。

そして、それがプラスチック製品であるとか、落ちたものの材質まで分かります。

また、3階の締めきった部屋にいて、2階の締め切った部屋で湯沸かし器が「もうすぐ お風呂が沸きます」という音声が聞こえます。

 

声が聞こえない

騒音と騒音以外の音の区別が、つきません。

周りのガヤガヤという喧噪と、目の前にいる人の声が、聴き分けられないのです。

 

一般の人は、脳が勝手にフィルターをかけるので、喧噪と、聞くべき人の声をよりわけて、声だけ抽出して聞くことができるそうです。

一般の人に、喧噪と声が聞き分けられない状態を体験してもらうには、録音した生活音を聞いてもらうといいと思います。

録音したものは、ざわざわとして音声が聞き取りにくいと思います。

それとおなじです。

 

だから、周りが騒がしいと、いくら目の前で話してもらっても、その人の声が聞こえません。

ところどころ聞こえてきたりするので、その時は、単語と単語の間を推測で補って、話を聞いています。

会話で虫食い問題を沢山説いているような感じです。

だから、話すと頭が疲れます。

 

目の前の人の話が聞こえないくせに、数メートル離れた人の声は聞こえたりします。

だから、離れたところの人の話が気になると、目の前の人の話は聞こえなくなります。

音の距離感がつかめないのです。

全ての音が、すべて同じ大きさで耳に入ってきます。

脳が、「この音はいらない」、「この音は少し聞いていればいい」、「この音は必要だから大きく」、という処理が、できないのです。

 

喧騒で疲れる

ザワザワしている音は、すごくしんどいです。

なぜしんどいのかは、分かりません。

もしかしたら、喧噪と人の声などを聞き分けようとして、脳がパンクするからかもしれません。

通勤時間の大阪の地下鉄の駅なんて、ザワザワしすぎてめまいがします。

座り込みそうになります。

とてもイライラします。

人混みに出かけると頭痛がして一気に体調が崩れるのは、聴覚過敏が大きな要因だと思います。

(もちろん、視覚過敏も要因です。またの機会に触れます)

 

モーター音が苦手

電車や車のモーター音の、高音域と低音域が苦痛です。

もしかしたら、普通の人が聞こえない音域が聞こえているかもしれません。

特に、工事車両や、発電機の音は酷いです。

 

高音域は脳に突き刺さり。

低音域は、脳を揺さぶります。

頭の中で、脳が音に共鳴して、ぶるぶる震えます。

頭が気持ち悪くて、吐きそうになります。

 

子どもの叫び声や、ヒステリーを起こした女性のキーキー声みたいな甲高い声は、耳に突き刺さります。

稲妻型をしていて、それがたくさん耳に突き刺さってきます。

すごく痛いです。

耳をふさぎたくなります。

 

食器の音

食器がぶつかる音。

お皿に、ナイフやフォークが当たるガチャガチャという音。

お皿同士がぶつかるガチッという音。

あれも、苦手です。

レストランに行くと、人の声と食器の音で、頭の中がぐちゃぐちゃになって、パニックを起こしそうになります。


音の圧力を体感するには

音の圧力を、身をもって体験するなら、大きな音量を出しているアンプの真正面に立ってみるといいでしょう。

ものすごい音圧です。

同じ音をずっと鳴らし続けていると、身体に大きな圧力を感じます。

音源側から、身体がズシッと押されているような感覚に陥ります。


対策

だから、私は音が苦手です。

好きな音(ウインド・チャイムや風鈴など)もありますが。

苦手な音をさえぎるために、状況によって、イヤーマフを使うこともあります。

イヤーマフは、一見大きなヘッドフォンをしているようにしか見えません。

最近では、騒音をカットし、人の声のみ抽出する、デジタル耳栓というものが登場し。

それを使うこともあります。

職場で使う許可も、得ることができました。


いい面もある

ただ、この聴覚過敏で、私は得をしたこともあります。

それは、音楽で役に立ちました。

 

微妙な音程のズレが、私にははっきりわかります。

他の人が、ズレに気付かないようなわずかなずれも、認識できます。

救急車のサイレンの音が、サイレンの機種によって違うことも分かります。

パトカーと消防車のサイレンの音が微妙に違っていることも。

パトカーと覆面パトカー、そして白バイのサイレンの音がすべて違うことも。

ヘリコプターも、民間機と消防・県警のヘリ、そして自衛隊機の音の違いが分かります。

 

また、機械の音がいつもと違うこともわかります。

電子レンジの「ブーン!」という音が、最近変だなと思ったら、しばらくして壊れた、なんてこともありました。

 

そして、倍音が聞こえます。

音がぴったり合った時に、他の音が聞こえることがあります。

この他の音を、「倍音」と呼びます。

音の波形が、そういう現象を生み出すそうです。

たとえば、「ド」の音がぴったり合えば、5度上の「ソ」の音が聞こえます。

「ド」と「ソ」が、絶妙な具合で合えば(一応決まりがあります)、「ミ」の音が聞こえます。

この倍音に合わせて「ド」「ミ」「ソ」をならせば、綺麗な和音になります。

※ピアノは平均律(すべての音が均等に並んでいる)ので、音のうなりをふくんでしまい、どうしてもきれいな和音にはなりません。

 きれいな和音とは、純正律での、音のうなりのない和音のことです。

 

訓練しても、なかなか聞こえるようにならないようで、大学の吹奏楽では倍音が分からない子がたくさんいました。

 

こういう点では、私の聴覚過敏は良い方向に力を発揮しました。

 

あと、人の顔が覚えられない私は、声で相手を認識します。

声で、前に会ったことがあるかどうかが分かります。


うまく付き合うしかない

日常生活では、聴覚過敏は辛いことのほうが多いです。

そして、聴覚過敏は慣れることも難しいです。

でも、どこかで役に立つかもしれない。

だから、辛いときはイヤーマフやデジタル耳栓などのツールで、身を守り。

うまく付き合っていくしかないのかな、と思っています。