ADHDの特性への対処
ADHDの特性への対処
ADHDの特性に対し、どのような対処をすればよいのか、ということをお話ししましょう。
基本的に、対処法は子どもも大人も同じです。
一番大事なのは、ADHDは生まれつきの脳の機能障害であり、本人が怠けているわけではないことや、特性を理解してください。それだけでも、ずいぶんと違います。
集中できないとき
集中できないときは、周りからの刺激を減らす工夫をしましょう。
壁に向いて座ったり、机の上に囲いを作ったり、作業スペース自体をパーテーションで囲ってしまったり、ほかの人から少し離れた位置に居場所を設定するのもよいでしょう。
机の上に立てる段ボール製の囲いが販売されています。
そういったものを利用して、上手に集中できる環境を整えましょう。
学校であれば、一番前の席にして、ほかの児童が目に入らないようにする、窓際の席を避けるなどの方法があります。
また、一番後ろの席にして、動きたくなったら自由に動いてもいい代わりに、お友達の邪魔をしない約束をさせるという方法もあります。
過集中を起こすとき
過集中で周りが見えなくなってしまうときは、タイマーなどを使って、集中力をコントロールするとよいです。
また、スマホのアプリなどを利用して、時間になったら知らせるようにすることもできます。
様々なツールを使って、上手に集中力をコントロールしましょう。
周りの人の声掛けも、大いに役立ちます。
指示が通りにくいとき
ADHDの人は、短期記憶が弱いといわれていて、長い指示を覚えておくことができません。
ですから、指示を出すときは短く具体的に出してもらえると助かります。
また、メモを取るのもよいです。
しかし、短期記憶が弱いとメモを取ることが難しい場合もあるので、指示はメモ書きにして渡したり、メールで指示してもらえると非常に助かります。
目で確認できるものだと、何度も指示を聞きなおさずに済みます。
優先順位がわからないとき
必要な手順を、細かく分けてリストにしてもらえると非常に助かります。
上から順番に作業をこなしていけば、仕上げることができます。
今していることが何だったかを思い出せるだけでなく、次にすべきことの見通しも持てるので、リストはよい方法です。
先延ばし癖があるときにも、リストを作ることが有効である場合があります。
イライラしているとき
イライラしているときは、一人になってクールダウンできる場所を確保してください。
普段から、逃げ込めるスペースを用意してもらえると、助かります。
逃げ込んでいたら、限界が来ていることを理解してもらえると助かります。
そわそわしているとき
落ち着いて座っていなかったり、貧乏ゆすりをしてしまったりすることに関しては、周囲に迷惑が掛かっていなければ大目に見てください。
ADHDの人は、体を動かすことで集中しやすくなるという研究報告もあります。
当事者の方で、大きく動いてしまい注意をされた場合、手で足をリズミカルに、小さくたたくなど、ほかの人に迷惑をかけない動きに変えるという方法も考えてみましょう。
立ち歩いてしまう場合は、わざと体を動かす指示を出すという方法もあります。
学校であれば、プリントを配るお手伝いをする、仕事であれば体を動かす仕事を任せるなど、あえて体を動かすことで、落ち着く場合があります。
問題行動があるとき
問題行動には、必ず原因があります。
一見原因がわかりずらいこともあるかもしれません。
しかし、パターンを見つける、本人に聞いてみるなど、原因を根気よく探ってみてください。
原因が分かれば、対処方法が見つかります。
個々に合った対処を
以上は、あくまで対処の一例です。
ADHDとひとくちに言っても、症状の強さや出方は人それぞれです。
個人個人に合った対処をお願いします。