自閉症スペクトラム障害とパニック
自閉症スペクトラム障害のパニック
自閉症スペクトラム障害にはつきものの、パニック。
(メルトダウンと呼ばれることもあります。私の感覚としては、パニックというよりもメルトダウンのほうがイメージ的には近いです)
パニックにはいろんなタイプがある
重度の自閉症の人のパニックは、結構有名ですよね。
泣き叫んだり、頭を壁に叩きつけたり、自分で自分を殴ったり、自分で自分に噛みついてしまったりする、自傷行為。
はじめてみた人は、ぎょっとすると思います。
しかし、パニックとは、それだけではありません。
パニックを起こすことには変わりはなくても、パニックの起こし方にはタイプがあります。
激しく泣き叫び、自傷行為がある人。
ただただ、泣き叫ぶ人。
しくしくと泣く人。
一見ぼんやりしているようにしか見えない、静かなパニック。
固まってしまったように見える、フリーズタイプのパニック。
泣き叫んだり、しくしく泣いたりしていれば、「困っているのかな」と分かってもらいやすいのですが。
外からはパニックを起こしていることが分かりにくい、静かなパニックは、気付いてもらえないことが多く、少し困ります。
如月の場合
私のパニックは、一見冷静に見えるようです。
無表情になる、静かなパニックです。
もう少し激しくなったとしても、しくしく涙をこぼしながら泣く程度です。
しかし、心の中は大荒れです。
パニックの程度
パニックにも、軽いものから、激しいものまで、さまざまあります。
ちょっとイライラする程度のものから。
泣いてしまうほどの混乱まで。
本人にとってのストレス度合と関連していると思います。
パニックというより、メルトダウン
わっと泣いてしまうようなパニックは、「メルトダウン」と呼ぶのがふさわしいと思います。
現に、アメリカでは、パニックとは言わず、「メルトダウン」と呼ばれているそうです。
原子炉の炉心溶融の「メルトダウン」の意味を考えると、なるほど、ぴったりだと思います。
心が暴走して、止められなくなって、心の底に穴が開いて、中の感情が漏れ出して…。
パニック・メルトダウン時の心情
パニックあるいはメルトダウンの時、当事者の心の中には、「不安」や「恐怖」、「怒り」という感情の竜巻が発生しています。
それは、とてつもなく大きな竜巻です。
周りにあるすべてのものを、吹き飛ばしてしまいます。
理性も、知恵も、知識も、自分をコントロールする術をも、すべて竜巻の中に巻き込み、破壊し。
そして、心の中を、めちゃくちゃにかき回してしまいます。
それを止めるには、頭を壁に打ち付けたり、自分を噛んだり、自分を叩いたりするしかないのです。
止めたくても止められない。
不安や恐怖、怒りがメチャクチャに吹き荒れて、どうしようもなくなる。
そんな時は、疲れ果てるまで泣き叫ぶか、頓服の安定剤などを飲んで無理やり眠ってしまうか…。
パソコンを強制終了するかのように、脳の働きをシャットダウンするしかありません。
パニックへの対処
頭の中が、いっぱいいっぱいで大荒れの時に、誰かに話しかけられたり、触れられたりすると、パニックはより酷くなります。
もう、それ以上刺激を受け入れることができないからです。
パニックの時に話しかけたり、触れたりすることは、あふれているバケツに更に水を入れる行為と同じです。
ですから、パニックの時は、安全を確保したうえで、刺激の少ない場所で1人にして欲しいのです。
一生懸命、自分の中の竜巻を鎮圧しようと、頑張っていますから。
本人が一番つらい
毎日、環境の変化や、不快なことにさらされ、パニックを起こしながら生きていると、とてもエネルギーを消耗します。
当事者だって、パニックを起こさずに生きていきたい。
パニックを起こさずに済めば、無駄なエネルギーを使ってしまうこともない。
ただただ、平穏に日々を送りたいという願いは、多数派さんと同じなのです。
パニックを起こしている自閉症スペクトラム障害の人を見つけたら。
暖かく、見守ってほしいと思います。