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自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

コミュニケーションの障害について

自閉症におけるコミュニケーション障害とは?

 

前回は、想像力の障害についてのお話でした。

今回は、自閉症スペクトラム障害における、コミュニケーションの障害について、お話ししたいと思います。

 

コミュニケーションの障害

 

 

・言葉が出ない、あるいは言葉が出るのが遅い。

・おうむ返し(即時性・遅延性)がある。

ジャーゴン(宇宙語)がある。

・言葉は出ていても、イントネーションがおかしかったり、使い方がおかしい。

・一見流暢に話しているようで、実は話しているほど理解していない。

ジェスチャーやアイコンタクトなど、言葉以外のコミュニケーションが少ない。

・表情や微妙な目くばせなどの、言葉以外のコミュニケーションが理解しにくい。

・表情が乏しく、喜んでいるのか怒っているのか分かりにくい。

・指差しをしない。

・言葉で要求を伝えず、大人の手を掴みクレーンのように動かしてものを取らせることがある(クレーン現象)。

・「ただいま」「おかえり」を言うべき立場が逆転してしまう。

 

ざっと挙げると、このような症状です。

 

言葉がでない、言葉が出るのが遅い

 

言葉が出ない、言葉が出るのが遅い、というのは、解説の必要はないでしょう。

保健所での乳幼児健診でもチェックされる内容です。

保健所で、言葉が遅いことを指摘された場合、比較的早く自閉症スペクトラムの疑いとのことで、専門家を紹介されることと思います。

 

話せているのにコミュニケーション障害?

 

問題は、言葉が出ている場合です。

しかも、年齢相応に話せる場合。

その場合、自閉症スペクトラム障害が、見逃される場合があります。

学童期や、大人になってから、自閉症スペクトラム障害であることが発覚する場合、たいてい言葉の遅れのない状態です。

 

しかし、言葉の遅れがなかったからと言って、言語的コミュニケーションに問題がないわけではありません。

言葉の裏の意味が読めなかったり、冗談や皮肉が分からないという、困ったことが起きてしまいます。

そのため、人間関係がうまく築けず、二次障害を引き起こしてしまうこともあります。

 

気持ちを言葉にすることが苦手

 

自分の気持ちを言葉にして表すことに難があり、怒りや不快を溜めこんでしまいがちです。

嬉しいときの表現も苦手なため、周囲と喜びを分かち合っていないようにみられてしまい、「つまらない奴」と思われてしまうこともあります。

 

話しているほどに理解していない

 

ぺらぺらと流ちょうに話しているのに、実際にはそれほど理解していない、という場合もあります。

それは、どこかで聞いた言葉を、何となく理解した感じでそのまま使用している場合があるからです。

いわば、「他人の言葉を借りて」話している状態です。

 

また、発信はきちんとできていても、同じレベルで相手が話すと、話し言葉の理解が追い付かないことがあります。

その場合、「何だこいつ、話している割にはこちらの言うことが理解できていないじゃないか」と思われてしまうのです。

 

話せるのにコミュニケーションが成り立ちにくいということは、理解されにくく、本人も非常に苦労するのです。

 

エコラリア(おうむがえし)

 

自閉症スペクトラム障害の特徴として、よく取り上げられるエコラリア(おうむ返し)にも、いろいろなパターンがあります。

一番わかりやすいのは、単に言われたことをそのまま繰り返すタイプ(即時性エコラリア)でしょう。

例)「お茶飲む?」と聞かれて「お茶飲む?」と答える

 

この場合、「聞かれていることの意味が分からない」ときと、「聞かれたことに対して答えている」場合とがあります。

前者の場合、「わかりません」の意味です。

後者の場合、「お茶を飲みます」と答えたいけれど、なんといっていいかわからないから、相手の言ったことを繰り返すことで自分の意思を表現しています。

 

どちらか確認したい場合、「お茶飲む?ジュース飲む?」と、選択肢を与えてみるといいかもしれません。

「ジュース飲む?」と返ってきたとしましょう。

もう一度、今度は「ジュース飲む?お茶飲む?」と聞いてみます。

ここで、「お茶飲む?」と返ってきたら、それは言葉の意味が分かっていない、単に最後に聞こえた言葉をおうむ返ししている、ととらえていいでしょう。

もし、「ジュース飲む?」と返ってきたら、それは意思表示ととらえるべきだと思います。

 

また、エコラリアには遅延性と呼ばれるものもあります。

たとえば、電車に乗ったとしましょう。

電車に乗るときに、「〇番線から、電車が発車します。」と聞えました。

数十分、或いは数時間、数日たってから、突然「〇番線から、電車が発車します」とおうむ返しが出ることがあります。

これは、その時聞いたフレーズが頭に残っていて、なんとなく思い出したから口に出している、ということが多いと思います。

 

多数派さんでも、あるCMの曲やキャッチコピーが頭から離れなくなった!という経験が、あることでしょう。

遅延性エコラリアは、それと同じ状況だと考えていただければ、ご理解いただけるかと思います。

 

エコラリアと言葉遊び

 

エコラリアには、単に音の連なりを楽しんでいる、という場合があります。

要するに、「言葉遊び」です。

 

「A4でえーよん!」というCM…聞き覚えがありますよね?(笑)

このように、韻を踏んでいる言葉が楽しくて、繰り返し言っている場合もあります。

誰かが発言したことが、たまたま韻を踏んでいれば、ついついその言葉を繰り返してしまうこともあります。

 

ジャーゴン(宇宙語)

 

ジャーゴン(宇宙語)については、何でしょう…とにかく、地球語が不便過ぎるのが悪いんだ!ということです(笑)

地球語で表現できないときに、宇宙語が飛び出します。

宇宙語って、便利なんですよ?

いろんな意味を発信できますから。

 

相手の表情が読めない、目が合いにくい

 

相手の表情が読めない・目くばせが分からない、目が合いにくいというのは、相手の顔や目を見ることが苦手だからです。

相手の目を見ながら話すと、「目を見る」ことと「話を聞く」ことと「返事をする」という、3つの作業が必要になります。

しかし、自閉症スペクトラム障害の人は、いくつもの作業を一度にこなすことが苦手です。

ですので、どれかを削らなければなりません。

 

人の目というのは、ものすごく強く物事を訴えかけてきます。

それを受け止めるのは、とてもエネルギーがいります。

ですから、話の内容を理解するためには、相手の目を見ないという選択が必要になります。

 

また、表情も同じく、コロコロ変わり、読み取るのにエネルギーを消費します。

話を理解するためには、受け取る情報を絞らざるを得ないのです。

 

大体、解説が必要なのは、このようなところでしょうか。

 

コミュニケーションの障害は、さまざま

 

一口にコミュニケーションの障害といっても、内容は多岐にわたるのです。

言葉が流暢に話せるからと言って、言語コミュニケーションに異常がないわけではないのです。