kaleidoscope

自閉症スペクトラム障害、ADHD、うつ病を抱える如月の万華鏡のような頭の中を、書き連ねていきます。わわわアールブリュット作家。

DSM-5における自閉症スペクトラム障害の定義

DSMという診断基準

 

DSMとは、アメリカ精神医学会が定めた、精神疾患の診断基準です。

世界中でこれをもとに、精神疾患の診断が行われています。

(診断書では、ICDという国際的な基準が用いられます)

 

DSM-5が発表されたときに、話題になりました。

なぜなら、自閉症関連の障害の項目が、大きく変わったからです。

 

DSMーⅣ

 

十数年使われていたDSM-Ⅳでは以下のような分類になっていました。

 

広汎性発達障害

・自閉性障害(自閉症

・小児期崩壊性障害

・レット障害

アスペルガー障害

・特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)

 

ここでは、広汎性発達障害というカテゴリがあり、そのサブカテゴリに様々な自閉症とその周辺の障害が含まれています。

 

しかし、これらはDSM-5において、「自閉症スペクトラム障害」あるいは「自閉スペクトラム症」に統一されることになりました。

また、レット障害はX染色体の異常で引き起こされることから、自閉症スペクトラム障害から除外され。

小児期崩壊性障害も、折れ線型自閉症と区別する意義が見いだせないとのことから、自閉症スペクトラム障害に吸収されました。


DSMー5でどう変わったか

 

どうしてDSM-5の発表が、話題になったのかというと。

診断基準が、より厳密になったためです。

 

DSM-Ⅳでは、

・コミュニケーションの障害

・社会性の障害

・常同性

社会性の障害と常同性に関しては、どちらかひとつの症状があるだけで、広汎性発達障害との診断が可能でした。

 

しかし、 DSM-5では「自閉症スペクトラム障害」としたため、あくまで自閉症の3つ組の症状がそろっている必要があり、「社会性の障害」も「常同性」も同時に満たすことが求められるようになりました。

 

そうすると、DSM-Ⅳでは広汎性発達障害と診断されていたのに、DSM-5では診断からもれる人たちが出てきてしまいます。

それは、「特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)」に属する人たちです。

ここに属する人たちは、自閉度が薄いため、DSM-5の基準に当てはまらない可能性が出てきてしまったのです。

また、大人になるにつれて常同性が消えてしまった場合も、診断から漏れてしまう恐れがあります。

 

そのため、そういった人たちには「社会コミュニケーション障害」という新たな枠が作られました。

診断されたいかどうかは別として…。

 

(※ただし、すでにDSM-Ⅳで診断を受けている人は、診断名をはく奪されることはないそうです。)

 

そんなこんなで、一時期、ずいぶん話題になりました。

 

大人になってからの診断もあり得ると明記

 

DSM-5では、自閉症の症状が現れる時期は、発達早期であるけれども、それが明らかになるのは青年期である場合もある、ということが明記されています。

幼少期から症状が続いていた場合、大人になってからの診断もあり得ることが、記されたのです。

それは、一歩前進した部分ではないでしょうか。

 

感覚過敏について

 

また、DSM-5では感覚過敏に関する診断項目も追加されています。

これは、当事者としては、非常に前進した感じを受けます。

 

DSM-5の診断基準については、ネットで検索をすると出てきます。

気になる方は、一度調べてみてください。

 

因みに…。

DSM-5にいう「常同性」には、エコラリアや過集中などが含まれるようです。

ですので、私の場合、DSM-5になっても、診断は変わらない、ということです(^▽^;)

主治医の現実逃避

メンタルクリニック通院日

 

昨日は、メンタルクリニックの定期通院日でした。

 

いつものように、朝イチで診察券を出しに行き、いったん帰宅。

かかりつけのメンタルクリニックは、我が家から徒歩1分のところにあります。

なので、病院の待合で待つのが苦手な私は、いつも家で時間をつぶしています。

 

9時半過ぎに病院に戻ったのですが、時間がかかる人が多かったみたいで、結局45分くらい待ちました。

新患さんも多いって言ってたし…。

調子の悪い人が多いようです。

春ですね(;^ω^)

 

絵を見せる

 

診察室に呼ばれて、いつものように気分表と、絵のコピーを提出。

まずは絵を見る先生。

提出した絵は「一夜の夢」と「Let off」でした。

 

「Let off(感情的に爆発する)」を見た先生が、「星が飛んでたり花が咲いてるから、まぁいいか…」と。

いや、よくはない。

全然よくはない。

「上半分は星もあるし、(生活における)目指すところは上半分?」と聞かれたので。

「でも、これ(ハートにいろいろぶっ刺さって流血してる部分)あるし、違う」と答えました。

目指す目指さないの問題じゃなくて、単に爆発してるだけだから(;´・ω・)

 

気分表の解読

 

先生に気分表を見てもらいました。

2週間に1度の通院なので、グラフと自由筆記蘭のある気分表を日記のように記して、先生に提出しています。

 

今回は2週間ずっと調子が悪くて。

頭痛はひどいし、手足のしびれや感覚の異常があるし、てんかん発作もきついし、もう最悪でした。

それを見て、先生が「もう今回はノーコメントやね…」と。

 

そして、「ホンマに地球で生きるのに向いてないんやろうね。宇宙船とか潜水艦とか買って、完全調温・調圧のところに住むしかないよ…。地面の中とか、宇宙に行くしかないかな…」と言われました。

そんな金銭的余裕は全くないので、「宇宙からお迎えが来ればいい」と答えておきました。

 

主治医の現実逃避

 

毎回、こういう会話があるんですが。

今回は、しょっぱなからこういう「あればいいな…」の話になってしまいました。

主治医の現実逃避が本格的になってきていて、どうしよもないんですけど(;^ω^)

もう私自身に現実逃避する気力がなくて。

「現実逃避はもういいから、現実を見てよ!」って思うけど。

それを言う気力さえなくて。

 

主治医に現実逃避されたら、どうすればいいんですかね??

かといって、薬が飲めなければ何もしようがない(漢方薬さえ飲めない)ので、どこの医者に行っても同じだし。

田舎だから、病院変えようにも病院がないし。

 

頭痛をなんとかしてほしい

 

あまりにも頭痛が続き、ひどいときは鎮痛剤も効かなくて、日常生活に支障が出ています。

てんかん発作による頭痛と、偏頭痛とが混ざっているようです。

 

「とりあえず、ロキソニンが効かない頭痛を何とかしてほしい」というと。

「粉の薬飲んだことあったっけ?試してみる?」と言われました。

「粉の薬で薬疹出たことある」というと。

「え?」と言われて。

カルテを見ながら、「ここで出したっけ?SG配合顆粒っていう薬なんやけど…」と先生。

「それ!脳神経外科でもらって、薬疹出たやつ!」というと。

処方が却下されました。

 

SG配合顆粒、よく効くんだけど、眠気がひどいし、ぼーっとするし、胃がやられるし、薬疹は出るしで最悪だったんです(´;ω;`)

あれはもう二度と飲めないなぁ。

 

如月を治療できる医者募集

 

先生ももう、ほんとに打つ手がなくて、お手上げです。

「うーん…」と唸って黙り込んでしまうほど。

同じお手上げなら、余命宣告された方がマシなんじゃないの…?と思ってしまう。

 

如月を治療できる精神科医さん、いたら名乗りを上げてくれませんかね??

ホント、薬使えなくて生活もヤバくて、どうにもならないんですけど…。

自閉症スペクトラム障害の原因は?

自閉症スペクトラム障害の原因って、わかっているの?

 

自閉症スペクトラム障害について、いろいろと書いてきました。

 

自閉症スペクトラム障害の原因って、分かっているの?

どのくらいの人数がいるの?

今回は、それに関して書きたいと思います。

 

自閉症スペクトラム障害の人はどのくらいいる?

 

 

最近では、100人に1人とも、ごく軽いグレーゾーンの人まで含めると、100人に5人とも言われています。

また、自閉症スペクトラム障害に限らず、何らかの発達障害を抱える人は100人に10人はいるのではないか、とも言われています。

 

男女比は、自閉症スペクトラム障害の場合、重度・軽度に関係なく、だいたい男:女=4~5:1の比率になっているようです。

男性の方が、多いんですね。


自閉症スペクトラム障害の原因は?

 

自閉症スペクトラム障害の原因について、今のところはっきりと分かっているのは、「生まれつきの脳の機能の異常」ということだけです。

それ以外のことは、いまだ研究中で、はっきりとしたことは分かっていません。

 

ですから、「これで自閉症は治る!」という治療法はありません。

唯一効果的だとされているのが、早期からの療育です。

いろんな社会的なスキルを、身につけたり。

生活に必要なことを特別な方法で学びます。

 

療育を受けることで、自閉症が治ることはありませんが、自閉の症状をマイルドにすることは可能です。

持って生まれた能力にもよりますが、社会生活を送ることができるようになったり、穏やかに日々を過ごせるようになる可能性は、充分にあるのです。



今までに、水銀が原因であるとか、母親の接し方に問題があるなど、様々な憶測がなされてきました。

しかし、それらはどれも間違いであることが、証明されています。

 

水銀のキレート療法などが流行った時期もあるようですが、それで亡くなったお子さんもいらっしゃいます。

うかつに手を出すのは、危険です。

自閉症は治る!」なんていう、もっともらしいことを書いた、怪しげなHPもたくさんありますが、効果のほどはいかがなものでしょうか。

 

自閉症スペクトラム障害自体、様々な症状があり、そもそも全て一つの障害であるのか、原因が違うさまざまな病気や障害などの外見として、「自閉症状」がでているのか、それさえも分かっていないのです。

 

ですから、腸内環境を整えれば自閉が軽くなったとか、牛乳を取らせないようにすれば軽くなったとか、グルテンフリーの食事に変えると良くなったとか、いろいろな民間療法のようなものがありますが。

それらも、個人によって効くかもしれないし、効かないかもしれないのです。

 

効いた人は、たまたまそれが原因で、自閉的症状が出ていたのかもしれません。

だからといって、全部の自閉症に効くとは限らないと思うのです。


自閉症スペクトラム障害に関する研究

 

自閉症スペクトラム障害についての研究は、欧米を中心として、日々進められています。

最近では、重度の自閉症の女性には、ある特定の染色体の変異が見つかった、と報告されています。

 

また、日本でも研究が行われており、二次障害の軽い、知的障害のない自閉症スペクトラム障害の男性の治験が行われ、オキシトシンによる対人関係の障害の改善の研究結果が報告されました。

オキシトシンの研究は、男性のみの実験でしたので、女性に対する効果は証明されていません。

また、知的障害を伴う自閉症への効果も、まだ実験されていません。



自閉症スペクトラム障害の人の脳には、「対人関係」「コミュニケーション」「常同性」に関わる広い範囲にわたる障害がある、とされています。

それが広汎性発達障害という呼び名の「広汎性」の意味です。

 

なぜ、その広い範囲に障害が引き起こされるのか?

まだまだ、謎ばかりなのです。

 

自閉症スペクトラム障害の研究に期待すること

 

これからどんどん研究が進んで、原因が明らかになって。

自閉症スペクトラム障害の人たちが、生き生きと過ごせる世の中になるように、祈ります。

絵の新作「虹をたべたねこ」

絵の新作です。

「虹をたべたねこ。」

 

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最近、同心円模様がお気に入り。

左下には、如月のマークでもあるナメクジさんがいます。

 

↓線画

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↓完成

 

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色を塗ってから、色を塗らずにいたほうがよかった…?と思ったり。

ねこのモチーフ、結構好きです。

他にもねこシリーズを描きたいと思っています。

どんな風に描くか…ただいま、思案中です。

自閉症スペクトラム障害の人への対応は?

自閉症スペクトラム障害の人への対応、具体的には?

 

前回までに、自閉症スペクトラム障害の人の特性を、いろいろと取り上げてきました。

 

では、実際に自閉症スペクトラム障害の人に接するとき、どうすればいのか?

ネットを検索してみると、健常者側からの観察による接し方が、沢山載っています。

ですので、ここでは、自閉症スペクトラム障害当事者からのお願いとして、対応方法をご紹介したいと思います。

 

話すときに気を付けること

 話をする時には、分かりやすい言葉を使い、ゆっくり、はっきりとしゃべってください。しかし、決して大きな声で話してほしいのではありません。大声はしんどいので、逆効果です。

 落ち着いたトーンで、ゆっくりめに、はっきりと発音してもらえると、言葉が聞き取りやすいです。また、言葉の理解に少し時間がかかるため、ゆっくり話してもらえると、理解が追い付きやすいです。

 

 分かりやすい言葉を使うといっても、赤ちゃん言葉はやめてください。知能に障害を抱える人も、知能が正常な人もいますので、相手の知的水準に合わせた言葉遣いをお願いします。

 言葉が流暢に話せても、相手の話している言葉の聞き取りが苦手な場合もあります。すらすらとはなしていても、それと同じ速度で話して大丈夫と思わず、ゆっくりはっきりしゃべってもらえると、すごく助かります。

 

また、返事をするまでに少し時間がかかってしまう場合もあります。それは、相手の言っていることを理解し、どう返事をすればいいか考えているからです。

ですから、返事に時間がかかっても、少し待っていただけるとありがたいです。

答えにくそうにしている場合は、選択肢をもらえると、答えやすくなり、助かります。

 

ざわざわした場所で、目の前の聞くべき人の声だけを抽出して聞くということが苦手です。

そのような場所では、まったく話が聞こえず、しかし相手に何度も聞き返すのも申し訳ないので、分かったふりをしてしまうことがあります。

ですから、そのような場所では大事な話をせず、静かな場所で話をしてください。



いけないことをしたときの叱り方

 

 社会のルールが守れないなど、叱らなければならないときがあります。しかし、自閉症スペクトラム障害の子どものしつけは、一筋縄ではいきません。

 

 健常の子どもでしたら、叱るときに少し強めの話し方にするなど、保護者が「怒っている」ことを伝えることもあると思います。しかし、自閉症スペクトラム障害の子どもは、声色で相手の気分を読むことができません。そのため、そういった方法は無意味です。

 

 また、大きな声で怒られると、怒鳴られたことでパニックになってしまい、落ち着いている普段なら理解できることも、まったく理解できなくなります。

 それは、「怒鳴られた」という恐怖がまず頭を占領し、相手の言葉を聞き取るための頭のスペースがなくなってしまうからです。

 

 ですから、何かいけないことをしてしまった時は、その場で、静かな声で取るべき行動を教えてください。「○○してはダメ!」というだけでは、どうしていいのかわかりません。「○○しましょう」と教えてもらえると、どうすればいいのかわかるので、とてもありがたいです。

 

無理に視線を合わせようとしないでください

 

 人と話す時は、相手の目を見ることがマナーだと言われます。しかし、自閉症スペクトラム障害の人にとって、相手の目を見るというのは、とても苦痛を伴う場合があります。

 相手と視線が合うと、とても痛かったり、そわそわしたり、いたたまれない気持ちになります。

 非常に負担になりますので、顔を覗きこんだりして、無理に視線を合わせようとしないように、お願いします

 

 また、一度にいくつもの動作を行うことが苦手という特性があるため、相手の話を聞きとることと、相手の目を見ること、話すことを一度にできません。そのため、相手の話を聞きとるために、視線を合わせない必要があるのです

 目が合わないからといって、話を聞いていないわけではありません。

 視線を交わすことが出来ない体質なんだ、くらいに思っていただけたら、と思います。

 

急な予定変更を避ける

 自閉症スペクトラム障害の人は、見通しが立たないことが苦手です。これから先、何が起こるのか?どこで何をするのか?が分からないと、不安になります。

 ですから、普段から、「これから〇〇をするよ」「そのあとは△△をするよ」「それが終わったら××しようね」と、時系列で予定を教えてもらえると、不安が減って非常に助かります。

 また、そのような特性のために、環境が突然変わってしまったり、予定が変更されてしまうと、見通しがなくなってしまい、恐怖に近い不安の感情が湧きだします。世界が崩壊してしまうくらいの不安です。

 

 ですから、できるだけ急な環境の変化や、予定の変更は避けてください。

 とはいえ、どうしても予定を変更せざるを得ない場合もあるでしょう。その時のために、前もって「こういう予定だけれど、もし何かが起きた場合、今言ったことと違うことをするかもしれないよ」と一言付け加えてください。そうすることで、「そうか、予定が変わることもあるのか」と納得します。

 

また、予定を変更する場合は、直前ではなく、できる限り早く変更を伝えてください。そうしてもらえると、予定の変更を自分で納得する時間が持て、実際に行動するまでに心を落ち着かせることができます。

 予定を変更するときは、変更した後の予定について、写真を見せながら説明するなど、本人が理解できる形で、できるだけ詳しく教えてください。

こだわりに理解を

 こだわりは、自閉症スペクトラム障害の人が、自分を安心させるために必要なことです。それをすることで、自分を落ち着かせることができます。

 多数派さんでも、何か落ち着くためのクセのようなものを、持っていると思います。

 ですので、他人の迷惑になるようなこだわりでなければ、認めてもらえると嬉しいです。

 

否定語ではなく、肯定語で

 

 自閉症スペクトラム障害の人に、何かを伝えるときには、否定語ではなく肯定的な表現を使ってもらえると助かります。

 例えば、歩くべき場所で走り出した子どもを叱るときに「走っちゃダメ!」と言うのが否定です。それに対して、「歩きましょう」と、すべき行動を指示するのが肯定です。

 自閉症スペクトラム障害の人は、「走っちゃダメ!」と言われた瞬間は、止まるかもしれませんが、ではどうすればよいのか?が分からないので、また走り出してしまいます。取ってほしい行動を明示することで、「この場面ではこうする」ということを学べます。

 

 また、自閉症スペクトラム障害の人は否定的な言葉に非常に敏感で、「怒られた!」と心が不安でいっぱいになってしまいます。

 それが積み重なると、「自分は悪い子だ」と思うようになり、自己肯定感が下がってしまいます。自己肯定感の低下は、二次障害を引き起こす可能性があり、非常に厄介です。

 

 否定的な言葉を言われるのが辛いのは、多数派さんも自閉症スペクトラム障害の人も、同じです。



どこで何をするのか、場所を決める

 

 自閉症スペクトラム障害の人は、気分の切り替えや、今すべきことに考えの焦点を合わせることが苦手です。すっと頭の状態が移行しないのです。

 ですから、「ご飯を食べる場所」「遊ぶ場所」「勉強する場所」「休憩する場所」など、一つの場所で一つの作業あるいは動作をするようにすると、今すべきことに集中しやすくなります。

 また、「ここに来たから、ご飯を食べるんだな」などと、理解しやすくなります。

 こういった、作業する場所を分離することを、『物理的構造化』といいます。



一度に提示する情報は、ひとつだけ

 

 自閉症スペクトラム障害の人は、一度に沢山の情報を処理することができません。ですから、何かを説明するときに、写真を見せながらしゃべったり、文章を見せながらしゃべってしまうと、見せられたものに集中してしまい、話が聞けなくなってしまいます。

 物を見ながら話を聞こうとすると、訳が分からなくなります。

 

 ですから、何かを見せながら説明するときは、まずは本人がその物を認識したことを確認し、それをある程度眺めたことを確認してから、説明に入ってください。

 そうすると、目の前に出されたものと、説明とを結び付けて理解することができます。



パニックを起こしたら?

 

 パニックを起こしているときは、本人の安全を確保して、落ち着ける場所で一人にしてください。くれぐれも、沢山話しかけたり、身体に触れたりして、余分な刺激を与えることのないように、お願いします。

 自分である程度対処ができる場合は、落ち着ける場所まで移動して、1人になります。

 自分で対処できない場合は、落ち着ける場所まで連れて行ってください。そして、暫くそっとしながら、様子を見守っていただけるとありがたいです。

 

 パニックから回復し、落ち着いたら、何が嫌だったのか、何に起こっていたのか、どうしたのか、聞いてください。パニックの途中で話しかけられても、頭が感情の嵐でめちゃくちゃになって、何の反応もできません。



感覚過敏に理解を

 

 感覚過敏のある人に、無理にその感覚を体験させないでください。少しずつ慣れていくことも大事かもしれませんが、どうしても無理なこともあるのです。

 受け付けない感覚に関しては、逃げるという手段を取ること、身を守るグッズを使用することに、ご理解をお願いします。


対応は個人個人に合わせた形で

 

以上、いくつかお願いをしました。

これらは、あくまで私の感覚であり、対応方法も個人個人で違ってきます。

当事者の様子を見ながら、適切な対応をお願いします。

自閉症スペクトラム障害とパニック

自閉症スペクトラム障害のパニック

 

自閉症スペクトラム障害にはつきものの、パニック。

メルトダウンと呼ばれることもあります。私の感覚としては、パニックというよりもメルトダウンのほうがイメージ的には近いです)

 

パニックにはいろんなタイプがある

 

重度の自閉症の人のパニックは、結構有名ですよね。

泣き叫んだり、頭を壁に叩きつけたり、自分で自分を殴ったり、自分で自分に噛みついてしまったりする、自傷行為

はじめてみた人は、ぎょっとすると思います。

 

しかし、パニックとは、それだけではありません。

パニックを起こすことには変わりはなくても、パニックの起こし方にはタイプがあります。

 

激しく泣き叫び、自傷行為がある人。

ただただ、泣き叫ぶ人。

しくしくと泣く人。

一見ぼんやりしているようにしか見えない、静かなパニック。

固まってしまったように見える、フリーズタイプのパニック。

 

泣き叫んだり、しくしく泣いたりしていれば、「困っているのかな」と分かってもらいやすいのですが。

外からはパニックを起こしていることが分かりにくい、静かなパニックは、気付いてもらえないことが多く、少し困ります。

 

如月の場合

 

私のパニックは、一見冷静に見えるようです。

無表情になる、静かなパニックです。

もう少し激しくなったとしても、しくしく涙をこぼしながら泣く程度です。

しかし、心の中は大荒れです。

 

パニックの程度

 

パニックにも、軽いものから、激しいものまで、さまざまあります。

ちょっとイライラする程度のものから。

泣いてしまうほどの混乱まで。

本人にとってのストレス度合と関連していると思います。

 

パニックというより、メルトダウン

 

わっと泣いてしまうようなパニックは、「メルトダウン」と呼ぶのがふさわしいと思います。

現に、アメリカでは、パニックとは言わず、「メルトダウン」と呼ばれているそうです。

 

原子炉の炉心溶融の「メルトダウン」の意味を考えると、なるほど、ぴったりだと思います。

心が暴走して、止められなくなって、心の底に穴が開いて、中の感情が漏れ出して…。

 

パニック・メルトダウン時の心情

 

パニックあるいはメルトダウンの時、当事者の心の中には、「不安」や「恐怖」、「怒り」という感情の竜巻が発生しています。

それは、とてつもなく大きな竜巻です。

周りにあるすべてのものを、吹き飛ばしてしまいます。

 

理性も、知恵も、知識も、自分をコントロールする術をも、すべて竜巻の中に巻き込み、破壊し。

そして、心の中を、めちゃくちゃにかき回してしまいます。

それを止めるには、頭を壁に打ち付けたり、自分を噛んだり、自分を叩いたりするしかないのです。

 

止めたくても止められない。

不安や恐怖、怒りがメチャクチャに吹き荒れて、どうしようもなくなる。

 

そんな時は、疲れ果てるまで泣き叫ぶか、頓服の安定剤などを飲んで無理やり眠ってしまうか…。

パソコンを強制終了するかのように、脳の働きをシャットダウンするしかありません。

 

パニックへの対処

 

頭の中が、いっぱいいっぱいで大荒れの時に、誰かに話しかけられたり、触れられたりすると、パニックはより酷くなります。

もう、それ以上刺激を受け入れることができないからです。

パニックの時に話しかけたり、触れたりすることは、あふれているバケツに更に水を入れる行為と同じです。

 

ですから、パニックの時は、安全を確保したうえで、刺激の少ない場所で1人にして欲しいのです。

一生懸命、自分の中の竜巻を鎮圧しようと、頑張っていますから。

 

本人が一番つらい

 

毎日、環境の変化や、不快なことにさらされ、パニックを起こしながら生きていると、とてもエネルギーを消耗します。

当事者だって、パニックを起こさずに生きていきたい。

パニックを起こさずに済めば、無駄なエネルギーを使ってしまうこともない。

 

ただただ、平穏に日々を送りたいという願いは、多数派さんと同じなのです。

 

パニックを起こしている自閉症スペクトラム障害の人を見つけたら。

暖かく、見守ってほしいと思います。

自閉症スペクトラム障害のその他の特性

自閉症スペクトラム障害のその他の特性

 

前回は、自閉症スペクトラム障害の3つ組以外の特性のうち、感覚過敏・鈍麻について取り上げました。

今回は、それ以外の特性について取り上げましょう。

 

忘れられない

 

自閉症スペクトラム障害は、「忘れられない障害」であるとも言われます。

どういうことかというと、今までに経験したこと、見たもの、聞いたことを、忘れることができないのです。

 

多数派さんは嫌なことがあっても、それを忘れてしまうことができる脳の仕組みを持っているようです。

しかし、自閉症スペクトラム障害の人は、楽しいことも、嫌なことも、すべてつぶさに覚えていることが多いです。

人によっては、まるでビデオ録画のように、鮮明な映像として、その場面が焼き付いています。

 

どんなに忘れたい嫌なこと、恥ずかしかったことも、どう頑張っても忘れることができないのです。

 

頭の中は映像のライブラリ

 

私の場合、記憶はすべて、図書館のように年代順に綺麗に保存されています。

そして、必要なときに、必要な情報を頭の中で検索し、取り出すことができます。

図書館では本が並んでいますが、私の頭の中にはDVDが並んでいます。

 

私の場合、動画での記憶ですが、人によっては静止画だったり、文字情報として保存されているようです。

その違いが、また不思議なところでもあります。

 

こういった、視覚的に物事を把握し、記憶できる能力を「カメラアイ」と呼びます。

カメラのように映像を写し取り、保存する。

そういう目を持っている、という意味です。

 

フラッシュバック・タイムスリップ

 

また、この「忘れられない」特性のために、自閉症スペクトラム障害の人はときどき、フラッシュバックを起こします。

それは、色や匂い、景色、感情、相手の動作、すべてがそっくりそのまま再現されるので、フラッシュバックというよりも、「タイムスリップ」と呼んだ方がイメージが近いかもしれません。

 

楽しかった場面にタイプスリップすると、ご機嫌でニコニコしています。

何もないのに突然にやにやと笑いだす時には、タイムスリップをしているのかもしれません。

 

嫌だった、苦痛だった場面にタイムスリップすると、そのときの感情が再生されるため、かんしゃくを起したり、パニックになったりします。

周囲から見れば、意味もなく突然パニックを起こしたように見えますが、実はタイムスリップが起きていることもあるのです。

 

このタイムスリップ現象は、自分でコントロールをすることができません。

ある事柄、ものがきっかけとなって、どんどんその当時の状況がよみがえってきます。

止めようとしても、なかなか止められません。

また、一つの嫌なことを思い出したがために、他の嫌な記憶まで、芋づる式に掘り起こされ、より混乱してしまうことも多々あります。

 

それを止めたい時、私は手で頭を叩きます。

外部から物理的な刺激(この場合は痛み)を与えることで、その忌々しいタイムスリップ現象から、現実に戻ってくることができるからです。

 

頭を叩いたり、身体を叩いたりしている自閉っ子が近くにいたら、もしかしたらタイムスリップしてしまっているのかもしれない、という可能性も考えてみてください。

 

オール・オア・ナッシングの思考

 

自閉症スペクトラム障害の人は、大抵、物事の白黒をはっきりつけたがります。

グレーゾーンというものが、苦手なのです。

というより、理解できないのです。

もしくは、頭では理解しても、感覚的に納得がいかないのです。

 

〇かもしれない、△かもしれない、という宙ぶらりんな状態を、とても気持ち悪く感じます。

善悪の判断も、かなりしっかりしたがります。

〇〇はいいことだ。

××は悪いことだ。

ここまでは、納得できます。

 

しかし、世の中にはそれらの隙間にあるような、判断の付かないこともあります。

△△は、どちらともいえない。

こんな状況になったら、イライラしてパニックになってしまいます。

足元の地面が、スライムでできているように、ぐらぐらして、立場が分からなくなってしまう感じです。

 

「〇〇なら、□□であるべきだ」という思考が頭を占領し、そこから抜け出すことができなくなってしまうこともあります。

「まぁ、いいか」という思考が、難しいのです。

これも、生きにくい原因の一つでしょう。

 

視覚による思考

 

自閉症スペクトラム障害の人は、視覚でものを考えるタイプの人が多いと言われています。

どういうことかというと、目から情報を仕入れ

何かを考えるときは、頭の中で映像を描き出して考えている、ということです。

 

その代り、聴覚からの入力や、言語での思考が苦手です。

そのため、何かものごとを伝えるときは、目で見える形で示してもらえると理解が早いのです。

 

視覚思考タイプの人が優勢ではありますが、中には聴覚思考タイプの人もいます。

また、視覚思考も聴覚思考も苦手で、嗅覚思考タイプの人もいます。

それぞれ、得意な理解方法があります。

 

能力の極端な凸凹

 

自閉症スペクトラム障害の人が、知能テストを受けると、様々な能力の凸凹が大きいことを指摘されます。

健常者は、それらの能力は、グラフにすると大抵なだらかな凸凹になります。

自閉症スペクトラム障害の人の場合、山と谷が大きな凸凹のグラフになります。

 

これは、できることと出来ないことに大きな差がある、ということです。

ですから、周りから見ると、「あんな難しいことができるのに、どうしてこんな簡単なことができないんだ!なまけてる!」と思われることもしばしば。

 

しかし、本人は怠けてなどいないのです。

能力に大きな凸凹があるため、できることはとてもできるけれど、苦手なことはとことん苦手なのです。

それを補う工夫が、必要です。

 

過集中

 

過集中とは、極端に一つの物事に没頭してしまう状態です。

数時間の過集中から、数日にわたる過集中もあります。

研究者が、寝食も忘れ研究に没頭する。

そういうシーンを、ドラマなどで見たことがあるかもしれません。

 

過集中は、まさにそのような状態です。

その状態の時に、声をかけても、本人の耳にはなかなか声が届きません。

周りの状況に、注意を払うことができないのです。

 

自閉症スペクトラム障害の特性として、一つのことにしか注意・関心を払えない、というものがあります。

同時並行する作業が苦手なのです。

 

そのため、集中しているときは、周りからの刺激が遮断され、まったく気づかないのです。

けっして、わざと無視しているわけではありません。

 

また、過集中の時に作業を邪魔されると、怒ることもあります。

調子が乗っているときに邪魔をされて、イライラするのです。

 

だからといって、ずっと同じ作業を続けていると、どうしても疲労が蓄積します。

そのため、本人や周りの人が工夫し、過集中を防ぐことが大事です。

 

予定の変更が苦手

 

自閉症スペクトラム障害の人は、予定が未定であること、予定が変更されることが苦手です。

これから先に何が起こるのか、不確定なことが、不安だからです。

 

今から、○○をします。

それが終わったら、××をします。

その次は、△△をします。

 

といったように、計画を全て教えてもらえると、安心します。

 

しかし、それらの予定が急に変更になった時は、自分の中で割り振っていた時間が崩され、世界が崩壊するような感覚に襲われます。

たまらなくイライラして、かんしゃくを起こしてしまいます。

 

どうしても変更の必要があるときは、早めに伝えてもらえると、心を落ち着かせる対応ができ、イライラも少なくて済みます。

 

自閉症スペクトラム障害、その他の特性も人それぞれ

 

よく言われる特性について、挙げてみました。

これら以外にも、様々な特性があります。

また、個人個人で、特性の強さや内容は、まったく違います。

 

対応してくださる方は、自閉症スペクトラム障害の当事者の様子をよく観察して、その人に合った対応をお願いします。